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ホラー通信

ピエロホラー映画『クラウン』イーライ・ロス インタビュー 勝手に名前を使われた彼が怒らなかった粋な理由

映画輸入 2015.03.22 21:35by


ホラー通信でも度々ご紹介しているホラー映画『クラウン』が、3月21日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開中だ。

息子の誕生日祝いのためにピエロ衣装を着た父親が、呪いの衣装と一体化して“子どもを食べるピエロの怪物”になってしまうというショッキングなストーリーもさることながら、元が学生が作ったフェイクの予告編で、そこにイーライ・ロスの名前を勝手に使っていたことからイーライ監督の目に留まり、彼のプロデュースで映画化が実現したという希有な作品でもあることから注目が集まっている。

このたび、今作でプロデューサーを務めたイーライ・ロスにインタビューを行った。フェイク予告編を観たときの感想や、映画『クラウン』の怖さの秘訣、彼自身の作品作りや新作『グリーン・インフェルノ』の公開予定についても話を伺うことが出来たので、是非ご覧あれ。

映画『クラウン』製作 イーライ・ロス インタビュー


記者:今作の監督であるジョン・ワッツと共同脚本のクリス・フォードが学生時代に作った『クラウン』のフェイク予告編には、あなたの名前が勝手に使われていたわけですが、その動画を初めて観たときはどんな印象でしたか?

イーライ:「アメイジング! こりゃ最高だ!」と思ったよ! 実はさ、朝起きたら色んな人から「君の新作めちゃくちゃ面白そうだね~!」「いつ公開なの? 待ちきれないよ!」なんてメッセージが山ほど届いてたんだ(笑)。それでビックリして急いでその動画をチェックしたんだけど、フェイク予告編としてのクオリティもすごく高かったし、なにしろ「僕が彼の立場でもこうやって注目を集めようとしたかもしれないな」とも思ったんだよね。

記者:では、名前が使われていたことには怒らなかったんですね?

イーライ:まぁ、動画を作ったジョンにコンタクトを取ったら、彼は「訴えないでくれてありがとうございます!」って言ってたんだけど、「ここはハリウッドだよ。訴えるのは金が儲かってからさ!」って答えたよ(笑)。「だからまずは映画化を実現しよう!」ってね。そうして一緒に製作に入ったんだけど、脚本作りにはすごく時間をかけたよ。なにしろ動画のレベルがすごく高かったから、それに見合うストーリーにしなければならないと思った。このストーリーのキーは、ピエロ衣装の呪いのもととなる“ピエロにまつわる神話”なんだけども、そこはすごくこだわって選んでいるんだよ。

記者:あの劇中に出てくる恐ろしい“ピエロの神話”は本当にあるお話なんですか……?

イーライ:君にそう思ってもらえたなら大成功だね! あれはジョンとクリスが作り上げた架空の神話だよ。でもね、ただの凶悪なモンスターが理由もなく暴れるという映画ではなくて、すべてにきちんとした理由を持たせたかった。ピエロの衣装がなんなのか、もね。構造的には、映画の『ザ・フライ』にかなり近いところがあって、“好ましい主人公が痛ましい変身を遂げてしまう”、そして、観客は“モンスターに変身してほしくない”という葛藤を抱く作品になっているんだ。

記者:見事に騙されてしまいました(笑)。イーライ監督からジョン・ワッツ監督に何かアドバイスしたことはありますか?

イーライ:僕から彼らに言ったことは、「決して怖い映画を撮ろうとするな」ということだね。ドラマとしてきちんとしたものを作ること、そこに、たまたまホラー的な要素があるだけだ。観客を怖がらせようとしてはいけない、なるべくリアリティを大事に描けば描くほど、“怖さ”というものは自然と滲みでてくるものだから。「ピエロ衣装が身体と一体化してモンスターになってしまう」というのは、コンセプトだけ見ればバカバカしく感じられるかもしれない。だけれども、製作者たちがリアルなものとして扱うことで、恐ろしくて痛ましい物語になるんだ。観客は思わず加害者側であるモンスターのほうを思わず応援してしまう、そんな作品になっている。

記者:「観客を怖がらせようとするのではなく、怖さがにじみ出るリアルなドラマを作る」というのは、イーライ監督自身の作品でもキーになっていることなのでしょうか?

イーライ:僕の作品でも同じアプローチをしているよ! ジャンルはホラーなんだけども、なるべくリアルさを大事にして、ドラマを撮るつもりで撮っているよ。例えば『ホステル』や、新作の『グリーン・インフェルノ』もなるべくリアルに撮った。僕の作品の場合、登場人物たちは“自分たちがホラー映画の登場人物である”ということは知らない。唯一ホラー映画だと認識しているのは映画のチケットを買う人達だけさ! ウィリアム・フリードキン監督と話しているときに、「『エクソシスト』は最高のホラー映画だと思います」という話をしたら、「いやいや、僕はホラー映画を撮ったつもりはないよ。たまたま悪霊にとりつかれた女性が出てくるというドラマなだけさ」と言うんだ。それと同じだね。怖さを求めるならば、なるべくリアルにすることだ。それは特殊メイクに限らず、僕の場合は照明や音楽の使い方、カメラワークなどもそうだ。なにか一つの要素が、ストーリーを圧倒してはいけないんだ。すべての要素が相互作用して、怖い物語に仕上がることを目標としているんだよ。

記者:『グリーン・インフェルノ※』のタイトルが出てきましたが、日本でも耳の早いホラーファンが『グリーン・インフェルノ』の噂を聞きつけていて、公開を楽しみに待ち望んでいます。公開は決まりそうでしょうか?

イーライ:色んな権利関係でもめてしまって先延ばしになっていたんだけど、今まさしく各所が調整に入ってくれていて、うまくいけば来週(インタビュー日:3月20日)結果が出ると思う! そうしたら秋に全米公開かも……? まだ決定じゃないけどね!

記者:楽しみに待っています! 本日はありがとうございました。

※『グリーン・インフェルノ』……本国での公開延期が続いているイーライ・ロス監督のカニバルホラー。少数民族の保護のためにアマゾン奥地に向かった学生活動家たちが、その民族たちが食人族だったことによって恐ろしい目に遭うというショッキングなもの。



映画『クラウン』公式サイト: http://www.clown-movie.jp/

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