去る2月14日。悪夢を見ているかのようなホラー映画『SKINAMARINK/スキナマリンク』(現在公開中)を3回連続で夜通し上映するという前代未聞のオールナイトイベントが行われた。その模様を、参加者の声とともにお伝えしよう。
本作は、人々が見る悪夢を映像化してきたカイル・エドワード・ボール監督の長編デビュー作。真夜中に目覚め、家の中の異変に気付いた二人の子供の奇妙な体験を描いており、夢とも現実ともつかない不気味な光景が延々と続く異色の作品だ。
すごいタイムスケジュール&万全の体制
「躙り寄る悪夢なブラックバレンタイン上映会」と題された今回のイベントは抽選制で開催され、当選した約100名ほどのツワモノたちが会場の映画館に集まった。
23時30分から上映がスタートし、15分の休憩を挟んで同じ映画が朝まで3回上映されるという、ちょっとした拷問のようなタイムスケジュールだ。なお、ギブアップ(途中退場)も可となっている。
画像:訳が分からないタイムスケジュール
会場では、劇中にも登場するおもちゃ“チャッターフォン”がお出迎えし、来場者の気分を盛り上げた。
画像:会場のチャッターフォン かわいい
画像:劇中のチャッターフォン 怖すぎる
バレンタインデーでの開催にちなんで、鑑賞中に小腹を満たせるチョコレートが配布されたほか、おかわり自由で無限に楽しめる“無限ポップコーン”なる夢のようなメニューが販売された。朝まで観る気マンマンの来場者たちがこぞって買い求め、レジには長蛇の列ができたという。
さらには、眠気覚まし用の洗濯バサミも用意されるという万全な体制での実施となった。実際に使った人もいるようである。
画像:配布されたチョコレート 「バレンタインにチョコをもらえて嬉しい」と好評を博す
画像:無限ポップコーン 塩とキャラメル両方ある嬉しさ
同じ映画を3回…… 上映中の様子
初回の上映終了時には、無言で作品について思いを巡らせる人や、同行者と感想を言い合う人、2回目の上映に備えて無限ポップコーンをおかわりする人などが見られた。恐怖のあまりかあるいは作品の波長が合わなかったか、途中退場する人もおり、2割程度が離脱。
しかし同じ映画を3回も続けて観るなど尋常ではないことなので、8割の参加者が残ったのは上々ではなかろうか。
2回目の上映終了時には、さすがに疲れた表情も目立ってくる。しかし、無限ポップコーンをまだまだ堪能する参加者も点在。もとは取らないとね。
離脱者なしで丑三つ時の最後の上映に突入。始発が動き出す朝5時にイベントは終了した。参加者たちは「良いイベントでした!」「途中寝てしまいました」「3回ちゃんと観れました!」と、恐怖から解放されてスッキリした表情で帰路についた。
参加者アンケートの結果「クセになる」「複数回観ることに意義のある映画」
本作の満足度についての問いには、最高評価の「絶望だった」と「楽しく観れた」という回答が同票に。「怖かった」という回答のほか、少数ではあるものの「怖くなかった」という意見もあり、刺激が足りないと感じる人もいたようだ。ここらへんはやむなし。なお、「つまらなかった」を選んだ人は一人もいなかった。
自由回答欄では、参加者たちのガチの感想が書き込まれた。
作品については、「実験映像をホラーテイストに仕上げている手法が面白い」「いつ緊張を解いていいのかわからない感覚がクセになる」「“怖さとは正体不明であるほど不気味に感じる”と証明する映画だと思う」「人間の恐怖を感じるツボを探る実験映画のよう」「とにかく恐ろしいことが起こり続ける絶妙な構成が、映画を観ているというより悪夢を見ている状態に近い」といった評価が。独創的な作品だが、狙いはしっかりと伝わったようだ。
また、3回連続で同じ映画を上映するという異例のイベント内容についても、「3回も観るのは辛いんじゃないかと思っていたが、とても面白かったので観ることができた」「映画内容と暗所に軟禁されての連続鑑賞がリンクしていた」「複数回観ることに意義のある映画だったので、この形態で視聴出来たことが嬉しい」と好評価。「音が本当に怖いので、映画館で見てよかった」「公開されたらまた劇場に観に行きたい」と、映画館での鑑賞に満足した人もいるよう。
“映画館で何度も観る”が本作を最大限に楽しむ方法なのかも?
『SKINAMARINK/スキナマリンク』公開中