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ネタバレ厳禁×ジャンル分け不可能! ジェームズ・ワン監督の個性的すぎる新作『マリグナント 狂暴な悪夢』に注目せよ

2021.10.23 12:00 by
ワーナー・ブラザース映画

『ソウ』『死霊館』の大人気シリーズを生んだ2000年代ホラーの貴公子、ジェームズ・ワン。そんな彼が原案・監督を務めるオリジナルホラー『マリグナント 狂暴な悪夢』が11月12日よりいよいよ公開! ワン本人が「ネタバレ絶対禁止」を謳っている本作。初見の驚きをぜひ味わってほしいのであまり多くは語れないのだが、“面白いホラー映画”が観たいなら、いや、ホラーに限らず“とびきり面白い映画”が観たいなら、自信を持ってオススメしたい一本だ。

豊作の2021年ホラー、そのなかで最も衝撃的で個性的

2021年、ホラー・スリラー映画は良作・話題作が目白押しだった。

オリジナル作品では、出られない住宅街を描く『ビバリウム』、殺人鬼と女子高生の身体が入れ替わる『ザ・スイッチ』、『search/サーチ』の監督が母親の異常な愛情にスポットを当てる『RUN/ラン』、灯台守の狂気を描いた『ライトハウス』、M.ナイト・シャマラン監督が急速に老いてしまうビーチを描いた『オールド』など、ユニークな作品が揃っていた。

続編や人気シリーズの新作も多数登場。大ヒット作の続編『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』や『ドント・ブリーズ2』、ハロウィンシーズンにはジョーダン・ピール製作でカルトホラーを蘇らせた『キャンディマン』、『ハロウィン』シリーズ最新作『ハロウィン KILLS』の公開も。

そして、ジェームズ・ワンが生んだシリーズたちもまだまだ元気。『ソウ』はシリーズを大胆に仕切り直す新作『スパイラル:ソウ オールリセット』が9月に公開されたし、“ユニバース”として拡張し続けている『死霊館』は、マイケル・チャベスが監督を務めるメインストーリーの3作目『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』が10月に公開されており、こちらも素晴らしい出来だった。

ざっくりと振り返ったけれど、年内にもいくつか話題作の公開が控えており、ホラー映画ファンにはなかなか充実した一年になるはず。そんななかでも、おそらく最も衝撃的で、他に類を見ないほど個性的な作品が、『マリグナント 狂暴な悪夢』だ。自身が生んだシリーズの後続作を自分以外の監督に委ね、一切守りに入らず新境地を開拓していくジェームズ・ワンの攻めの姿勢には、思わず惚れ惚れしてしまう。

夢に現れる“漆黒の殺人鬼”をめぐる物語

2000年代のホラー映画界において大成功をおさめたワン監督。2015年公開の『ワイルド・スピード SKY MISSION』、2019年公開の『アクアマン』ではアクション超大作の監督を見事に勤め上げ、ホラージャンル以外の才能も開花させた。しかし、大作には何かと制約も多く、自分のやりたいことばかりを表現できるわけではない。『アクアマン』続編の監督にも抜擢されたワンが、そんな超大作を撮る合間に、自分の好きな世界に立ち返り、のびのびと創造性の羽を伸ばして作り上げたのが本作なのだ。

描かれるのは、恐ろしい“夢”をめぐる物語。主人公のマディソンは、黒い影のような“漆黒の殺人鬼”による殺人を目撃するという悪夢に悩まされていた。さらには、夢で見た殺人が実際の事件として起こり始めてしまう。夢は次第に臨場感を増していき、彼女はあたかもその場にいたかのように殺人現場を“疑似体験”するようになっていく。現実世界が溶け出してダークな“殺人の夢”と混ざり合っていく超常的なシーンは、映画館で没入感たっぷりに観ていただきたいところ。なぜ彼女にはこのビジョンが見えるのか? 真相を突き止めようとするマディソンは、恐るべき真実にたどり着くこととなる。

予告編でも少しだけ見ることが出来るが、夢に現れる漆黒の殺人鬼=“ガブリエル”が、超人的な動きで人を殺していく様も、本作の見どころのひとつ。『ソウ』におけるジグソウや、『死霊館』ユニバースのアナベルやヴァラクなど、魅力的なホラーアイコンを生み出してきたワン監督だが、本作のガブリエルも、そんなホラーアイコンたちに並ぶ存在になるかもしれない。

ショッキングなのにニコニコしちゃう極上ホラー


この物語は、ワンの妻で俳優のイングリッド・ビスのアイデアから生まれたもの(彼女は俳優として、本作と『死霊館』最新作にも出演している)。ワンとビスは二人でアイデアを煮詰めていき、実に衝撃的な物語をつくりあげた。ワンは本作を「マリオ・バーヴァやダリオ・アルジェント、ブライアン・デ・パルマ、デヴィッド・クローネンバーグ、そして80年代のホラー・スリラー映画への私の愛から生まれたもの」と表現している。愛してやまない作品たちのエッセンスを盛り込み、『ソウ』から『アクアマン』まで、これまでの映画製作で培ったセンスとスキルを遺憾なく発揮し、たっぷりの映画愛を添えてこの物語を映像化した。バイオレンス描写のために米本国ではR指定、日本ではR18指定を受けているが、それはやりたいことを表現するのに制限を加えなかった結果だろう(18歳未満の皆さんは、観られる日を楽しみに待っててね)。

すると出来上がったのが、ショッキングでありながらなんとも幸福感に満ちた映画なのだ。ホラー映画ジャンルは特に、初めて観て衝撃を受けた作品や、「どんな映画なんだろう」と想像を膨らませてワクワクしながら観た作品があると思う。そういった作品に触れたときの驚きと興奮、心躍る感覚が詰め込まれているのだ。なので、R18指定の過激なホラー映画なのに、観ているあいだ嬉しくてニコニコしてしまうし、背筋がゾクゾクするような恐怖シーンを堪能しながらも、観終えたあとは幸せな気持ちでいっぱいになってしまう。もしゴア描写が苦手でも、そのショックを上回る衝撃展開を楽しんでもらえると思うので、ぜひトライしてほしい。

ジャンルに囚われずに好きな映画を撮ればいいのだ!

ポスタービジュアルこそイタリアのジャッロホラーのテイストだが、本編を観ると、一言ではジャンルを表現できない作品であることが分かる。ワン自身も、本作を「私の大好きなさまざまなジャンルを混ぜた“ジャンル・ブレンダー”な作品」と明言。この大胆な“ジャンルのブレンド”に関しては、ワンの過去の発言に立ち返るととても感慨深いものがある。2013年に、「色んなジャンルの映画が撮りたいから、ホラーは卒業する」と宣言しているのだ。わずか一年あまりで撤回され、そののちに『死霊館 エンフィールド事件』という傑作を撮ったわけだが、そもそもワンは、ホラーに嫌気が差して卒業を宣言したわけではなかった。映画監督が成功したジャンルに縛られてしまうことを嫌っての発言だったのだ。

しかし、“色んなジャンルの映画”を撮るのに大好きなホラーを卒業する必要はなかったのである。ワンは気付いた、ジャンルの枠組みにとらわれる必要はない、好きなものを詰め込んで、もっと自由に映画を作ればいいのだ、と! そんな新たな境地に至り、そこかしこにジェームズ・ワンらしさを感じさせる集大成的な作品でありながら、これまでのどの作品にも似ていない、とんでもない怪物的映画を作りあげてみせた。映画監督ジェームズ・ワンのその現在地を、是非とも見届けてほしい!

映画『マリグナント 狂暴な悪夢』
2021年11月12日(金)日本公開

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