この記事は1年以上前に掲載されたものです。
シリーズ累計700万部を誇る「彼岸島」の実写映画作品『彼岸島 デラックス』が2016年10月15日に公開。「彼岸島」実写化で最も困難とされるのが、「邪鬼」(おに)と呼ばれる巨大モンスターの表現。本作では、表情や筋肉の動きなど細部の細部までこだわり抜いた最新のCG 技術により、原作で人気の邪鬼たちがド迫力のスケールで再現されています。
世界中でカルト的な人気を誇る原作漫画『彼岸島』。原作者の松本光司にインタビューを敢行し。『彼岸島』の世界観にも影響を与えているというホラー映画についてもお話を伺いました。
―『彼岸島デラックス』がいよいよ公開となります。本作のキャスト、鈴木亮平さんと白石隼也さんらはドラマ版からの続投ですが、最初にキャスティングを聞いた時はどう思われましたか?
松本先生:すごくありがたかったです。白石さんはどんなポーズも恰好よく決まる正統派で、鈴木さんはどっしりと何でも頼れる存在感。兄弟としてこの二人の個性が合わさった時の化学変化がとても楽しみだと思いました。
―『彼岸島 デラックス』では兄弟の直接対決が描かれるわけですが、この兄弟同士のバトルは連載当初から構想はあったのでしょうか?
松本先生:いえ、ありませんでした。僕には兄がいて自分が弟だったので、兄のいる世界観のほうが描きやすく、それで普通に主人公の兄・篤というキャラクターを作りました。が、描き進めていくうちに、段々と兄弟の宿命として、二人は直接対決をするべきなのではと思えてきて、泣く泣くその流れにしました。どっちが勝っても嬉しくないので描いていて本当につらかったです。
―なるほど、兄弟のリアルな感情はご自身の兄弟関係の中からきているのですね。そもそも『彼岸島』という漫画の設定は、どういう所から発想を得たのでしょうか?
松本先生:僕は小さい頃は、親の仕事の都合で台湾に住んでいました。その時住んでいた家の近くに駄菓子屋のような店があり、そこで一本25円くらいでビデオレンタルをしていたんです。僕は毎日の様にビデオを借りにいって、もちろん日本語字幕などないので、字幕が無くても楽しめるジャッキー映画やホラー映画などをいっぱい観ていました。今思うとその時の映画体験が『彼岸島』の原点かもしれません。
―特にお好きなホラー作品は何ですか?
松本先生:好きな映画はいっぱいありますよ。『エクソシスト』『悪魔のいけにえ』『ゾンビ』『エレファントマン』『ウィッカーマン』『ファントム・オブ・パラダイス』などなど、きりがないのでこの辺で。モンスターデザインは『エイリアン』『遊星からの物体X』『ヘルレイザ-』などが大好きです。
―『彼岸島』はホラー映画の影響を受けているとおっしゃるとおり、かなりダークなテイストの作品ですが、当初『ヤングマガジン』で連載する事に懸念はありませんでしたか?
松本:読者は面白ければ何でも受け入れてくれると信じていたので、面白くすること以外は考えませんでした。ダークなホラー漫画を描くというよりは、それまでの僕の漫画もサスペンスタッチだったので、サスペンスの対象を人間からモンスターに変えるという感覚だった気がします。モンスターが荒唐無稽にならないよう、かなり演出に気を配っていました。
―『彼岸島』には武器として“丸太”が度々登場し、ネットでも話題になりますが、丸太を登場しようと思ったきっかけはあるのでしょうか?
松本:あの島には大した武器は無いだろうと思い、手近にありそうな丸太を武器として持たせただけだったのですが、その時の編集さんの反応がすごくよくて。何か丸太の話をする時だけ嬉しそうなんですよね(笑)。僕はそういうキャッチーなアイテムを作るのは得意じゃないので、見つけて盛り上がっていただけると大変ありがたいです。
―丸太で闘うなんて、本当に『彼岸島』以外で見れないですよね。私も毎回興奮してます! 現在『彼岸島 48日後』が連載中ですが、今後のヴィジョンを少し教えていただけますか?
松本:そうですね、もちろん雅を倒しに東京に向かうんですが、まずは雅の側近の金剛さんとの決着です。そろそろ近づいているので彼との対決を楽しみにしていてください。
―これからも楽しみにしております! 今日はどうもありがとうございました。
『彼岸島 デラックス』インタビュー
約600年前から吸血鬼伝説が語り継がれてきた孤島で禁断の封印が解かれ、島全体に吸血鬼や邪鬼(オニ)たちが溢れ出した。人間のまま生き延びた者たちと感染して吸血鬼と化した者たちが壮絶な戦いを繰り広げる中、2年前に島を訪れたまま行方不明になった兄・篤を探す弟の明と仲間たちがやって来る。明たちは恐ろしい化け物たちに立ち向かうが……。
(C)2016「彼岸島」製作委員会 / © 2010 松本光司/講談社・「彼岸島」フィルムパートナーズ