この記事は1年以上前に掲載されたものです。
この秋、“友だち”を求める大変ユニークな映画キャラクターふたりがはるばる来日している。
これは出会うはずのなかったふたりを出会わせる、前代未聞の試みである。
一人目は、映画『スイス・アーミー・マン』(9/22公開)に登場する“万能死体”のメニー。尻から噴射するガス(平たく言えばおなら)でジェットスキーができるほか、様々な便利機能を持ったスイス・アーミー・ナイフのような死体だ。この役をかのダニエル・ラドクリフが演じているため、顔は完全にラドクリフである。
劇中では、無人島に流れ着いたところを遭難中の青年ハンク(ポール・ダノ)に見つけられ、ふたりで故郷を目指してサバイバルしながら、生きることの楽しさ・美しさを見つけていく(死体なのに)。日本では、ハンクのほかにも友だちを見つけたいとのことだ。
二人目は、映画『アナベル 死霊人形の誕生』(10/13公開)に登場する人形、アナベル。幼い娘を亡くした人形職人の夫婦によって作られたアナベルは、次第に邪悪な力を持ちはじめ、少女の悲鳴や人間の弱さが大好きな“死霊人形”となってしまう。
劇中では、夫婦の館で新たに暮らし始めた孤児院の少女たちをアナベルが手荒く歓迎し、恐怖のどん底に叩き込む。日本へは、新たな犠牲……いや友だちを見つけるためにやってきたという。
出会い
生きる喜びを探す死体と、呪いのかかった人形。並の人間には少々手に余るこのふたり、友だちが欲しいのであれば引き合わせてみてはどうだろうか?
ふたりは原宿・竹下通りで待ち合わせをし、初対面した。
アナベル「ハーイ、メニー。迷わず来られたかしら? 実は私、前作『アナベル 死霊館の人形』のとき一度来日しているのよね。原宿はもう庭みたいなものよ」
メニー「原宿へは初めて来ました。みんなやけにこちらをチラチラ見るんですが、こういうものなんでしょうか。無人島は人がいなかったので、こういう反応は新鮮です」
アナベル「死体を見る機会ってあまりないものね。私はいくつか見てるけど……あ、いえ、なんでもないわ」
クレープを食べよう
アナベル「原宿に来たら何をすべきか知ってる? “クレープを食べること”、これに尽きるわ。この店は行きつけなの」
メニー「“サンタモニカ”って書いてありますね」
アナベル「アメリカの都市の名前ね。ちなみに私はいつもはコネチカット州にいるの。オカルト博物館に収蔵されていて、神父から月に2回祈祷を受けるのよ」 ※本物のアナベル人形にまつわる実話
メニー「ちょっと怖くなってきた」
アナベル「店員さん、いつもの一丁お願い。ツケといてね」
メニー「ひとつのクレープを二人で食べる。ハンクが教えてくれた“デート”に近い感じがします」
アナベル「ムシャムシャ(聞いてない)」
プリクラを撮ろう
アナベルは今回の来日でやってみたかったことがあるという。いそいそと連れられてきたその場所はプリクラ専門店であった。
アナベル「プリクラ、憧れてたのよ! 見て見て、モデルの女の子は私みたいなブロンドの三つ編みよ。私プリクラ映えするってことじゃない?」
プリクラの機械『撮影するよ~♪ カメラを見てね~♪』
アナベル「メニー! とびきりの笑顔で頼むわよ!」
メニー「死後硬直しているので難しいです。でもがんばります」
(死んでも)ずっと仲良し。
アナベル「イイ感じに撮れたじゃない! 半分に切ってちょうだい! 帰ったらロレーンに見せましょ!」
※ロレーンとは、アナベル人形を保管している超常現象研究家である。映画『死霊館』『死霊館 エンフィールド事件』に登場する。
メニー「死後硬直でハサミが持てないので得意の死体チョップで切りますね」
※死体チョップは万能死体のメニーが持つ能力の一つである。劇中では丸太などをいともたやすくチョップでカットしている。
アナベル「どう? 原宿は楽しめた? 私はそろそろ神父の祈祷を受けなきゃいけないから一旦コネチカットに帰るわ」
メニー「アナベルさんは忙しいんですね。今日で僕も原宿マスターになれた気がします。ありがとうございました!」
~原宿デートを終えて~
おふたりに感想を聞きました。
メニー「とっても楽しかったです! 僕のいちばんの特技のおならジェットスキーを見せられなかったことが心残りでしょうか。彼女の映画も観てみたいですね。え、観ないほうがいい? 印象が変わる? ……余計に気になりますね」
アナベル「うーん……そもそも私は生きてる人間にしか興味がないのよね。死体だと取り憑きようがないっていうか……。生きてる人間は大好きよ。これを読んでるそこのアナタ、劇場に観に来てくれたらスクリーン越しに取り憑いてあげるわ」
ふたりの心はややすれ違い気味か……?
彼らの本領発揮の活躍はぜひ映画本編でお楽しみあれ。