ホラー通信

映画

見逃した作品をチェック! 2019年日本公開のホラー・スリラー・ゾンビ映画まとめ

2019.12.28 01:00 by

2019年に日本で公開され、当サイト『ホラー通信』でご紹介したホラー・スリラー・ゾンビ映画のなかから独断でセレクトして振り返っていきますよ。年間ベスト10に入れたい作品、冬休み中に観ておきたい作品、DVD発売や配信スタートを楽しみに待ちたい作品のチェックにお役立てください。

粒ぞろいの続編映画

『ハロウィン』(4月)
『ドクター・スリープ』(11月)
『ゾンビランド:ダブルタップ』(11月)

「今年の目玉!」と言えそうな大作レベルの話題作が続々公開された2019年、続編映画が特に目立っていました。

オリジナル版からの実際の時間経過を作品中に取り入れた続編映画がブームの兆しかも? まず、ジョン・カーペンター監督の伝説的ホラー映画『ハロウィン』(1978)の40 年後を描く続編『ハロウィン』。同名なのがややこしいですがリメイクではなく続編です。ハロウィンの夜に連続殺人事件を起こした恐怖の象徴“ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズと、彼が殺し損ねた生き残りの少女ローリーの40年越しの因縁の対決を描きました。熟成された殺意と殺意がぶつかり合う壮絶バトル、アツかったですね……!

40年越しの続編映画がもう一本。『ドクター・スリープ』は、スタンリー・キューブリック監督が手掛けた『シャイニング』(1980)の40年後を描いた続編。父親が起こした凄惨な事件で心に傷を負った息子ダニーが大人になり、自身の持つ特別な力“シャイニング”を武器に、過去のトラウマ、そして新たな脅威と立ち向かいます。キューブリック版映画を気に入っていない原作者スティーブン・キングをも納得させる形で傑作の続編を作り上げたマイク・フラナガン監督の手腕に拍手!

『ゾンビランド:ダブルタップ』は、スマッシュヒットしたゾンビコメディ『ゾンビランド』(2009)の10年後を描いた続編。売れっ子になった監督・脚本家はもちろん、アカデミー賞に食い込む名俳優となった主要キャストも全員続投し、悪ノリエンジン全開! スリルは大増量。ニコニコ顔で劇場を出られる傑作に仕上がってました。

『ミスター・ガラス』(1月)
『IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(11月)
『アンフレンデッド:ダークウェブ』(3月)

M.ナイト・シャマラン監督の超常サスペンス・スリラー『ミスター・ガラス』は、『アンブレイカブル』(2000)と『スプリット』(2016)の世界をつなぐ完結編。好き嫌いがハッキリわかれるようですが、ドハマりすると全身が震える大号泣のラストが待っています……。

『IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は、2017年に公開され大ヒットした『IT イット “それ”が(以下略)』の完結編となる物語。前作から27年後、大人になったルーザーズクラブの面々と、恐怖を喰らう“それ”(ペニーワイズ)との戦いを描きました。続編の今作も大ヒットし、間違いなく2010年代を代表するホラー映画となりそう。

物語が全編PC画面上で進行するホラー映画『アンフレンデッド』の続編、というか第二弾?の『アンフレンデッド:ダークウェブ』も忘れちゃいけません。前作とはストーリー的なつながりはないので今作から観ても大丈夫。持ち主不明、忘れ物のパソコンをパクった主人公が、そのパソコンから“闇サイト(ダークウェブ)”にアクセスしてしまい、恋人や友人たちを道連れに恐ろしい事件へと巻き込まれていきます。『アンフレンデッド』はシリーズ化して色んなパターンを作ってほしいですね~。

人気シリーズの最新作

『アナベル 死霊博物館』(9月)
『貞子』(5月)
『パージ:エクスペリメント』(6月)

『アナベル 死霊博物館』はジェームズ・ワンが手掛けた『死霊館』シリーズのスピンオフ、呪いの人形“アナベル”を描いたシリーズの3作目。かなり凶悪だった前作から一転、たっぷり怖がれて目一杯楽しい、ホラー映画初心者にもオススメしたいアトラクションのような良作でした。『死霊館』のウォーレン夫妻が出ているのも嬉しい!

日本を代表するホラーアイコン“貞子”を描く『貞子』は、言わずもがな『リング』シリーズの最新作。『リング』『リング2』を手掛けた中田秀夫監督がふたたびメガホンをとり、Jホラーファンを歓喜させました。貞子の恐怖はまだまだ続きそうですが、果たして?

『パージ:エクスペリメント』は、1年で一晩だけ殺人を含むすべての犯罪が合法になる法律“パージ”を描いた人気シリーズ最新作。シリーズの前日譚にあたる今作では、スタテン島を舞台に“パージ”の始まりとなる史上最悪の実験を描いています。

大胆なリメイク作

『サスペリア』(1月)
『チャイルド・プレイ』(7月)

名作・傑作のリメイク作品。観る方にとっても満足度のハードルがかなり上がってしまいますが、意欲的なリメイク作品が2作ありました。まず、『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が、ダリオ・アルジェント監督の1977年の魔女ホラーを再構築した『サスペリア』。オリジナル版とはかなり印象は違いますが、“見てはいけないものを見てしまった”感じは共通しているかも。オリジナル版に主演したジェシカ・ハーパーの出演も嬉しいポイント。

『チャイルド・プレイ』は、“チャッキーという名のおもちゃの人形が人を殺しまくる”という要素のみを残した大胆リメイク! “連続殺人鬼の魂が乗り移った人形”というオリジナル版のなかなかブッ飛んでいる設定を、“人工知能を搭載した人形の暴走”という現代的な設定に置き換え、便利すぎるテクノロジーへの畏怖を物語に落とし込みました。「可愛くない!」という声が多数聞かれた新しいチャッキーの顔ですが、一見不気味で敵に回したくないけど愛着が生まれればギリギリ可愛く見える、という絶妙なラインを突いており、個人的には非常に秀逸だったと思います。

カルト的人気監督の最新作

『ゴーストランドの惨劇』(8月)
『クロール 凶暴領域』(10月)
『ハウス・ジャック・ビルト』(6月)

『ゴーストランドの惨劇』は、トラウマ映画と名高い『マーターズ』で多くのファンを獲得したパスカル・ロジェ監督の最新作。性格が真反対の姉妹が巻き込まれる残忍な事件を描いた本作は、おそろしく不快なのに1度観ると必ず2度観たくなるトリックが仕掛けられています。ラストの解釈がわかれそうなので是非自分の目で確かめて!

『クロール 凶暴領域』は、『ピラニア3D』や『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャが活き活きと手掛けたワニホラー! ワニ×巨大ハリケーン×浸水という3大脅威が主人公とその父を襲います。観ているだけで手汗ビショビショ、文字通り手に汗握るスリリングな傑作。恐ろしくタイムリーなことに劇場公開日に規格外の台風が日本を襲ったのも印象的でした。

『ハウス・ジャック・ビルト』は賛否両論の鬼才ラース・フォン・トリアー監督の最新作。アートを創作するように殺人を繰り返す男“ジャック”のエグ~い12年間の軌跡。リトマス試験紙のようなトリアー監督作品、ドン引きして途中退場するか、悪魔的な魅力に取り憑かれるか、ツボにハマって大笑いするか、人によって反応がバラバラなのも面白い! 筆者は大笑いでした。

新作ホラー映画を控える注目の監督

『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(5月)
『アップグレード』(10月)
『ピアッシング』(6月)

ジェームズ・ワン製作、新鋭監督のマイケル・チャベスがメガホンをとった『ラ・ヨローナ ~泣く女~』は、南米に伝わる“ヨローナ(泣き女)伝説”を題材にしたホラー。『アナベル 死霊館の人形』に登場したペレズ神父が登場しており、死霊館ユニバース作品とカウントして良さそうな感じですがちょっと曖昧なところでしょうか? 今作のマイケル・チャベス監督はジェームズ・ワンからバトンを引き継ぎ『死霊館』の3作目に当たる『The Conjuring:Devil Made Me Do It(原題)』(2020年本国公開)の監督に抜擢されており、今後要注目です。

一方、『アップグレード』は、ジェームズ・ワン監督との長年のタッグで知られる脚本家・俳優のリー・ワネルの監督作。全身麻痺になった男が人工知能の力で超人となり、妻を殺した犯人の復讐に乗り出すSFアクションスリラー。監督としてもその才能を開花させたワネルは、古典ホラー『透明人間』をリブートする『The Invisible Man(原題)』(2020年本国公開)の監督を務めています。

『ピアッシング』は村上龍の原作をニコラス・ペッシェ監督が映画化したスリラー。殺人願望のある男と自殺願望のある女の危険な出会いを描きます。ペッシェ監督は2020年に全米公開される『呪怨』の新たなハリウッドリメイク版『The Grudge(原題)』の監督・脚本を手掛けています。

奇跡の劇場初公開

『ザ・バニシング―消失―』(4月)
『ショーン・オブ・ザ・デッド』(3月)

「今年一番怖かった映画は?」と問われたら真っ先にこれを挙げたい『ザ・バニシング―消失―』。とある女性の失踪事件、彼女の行方を追う恋人と、その真相を唯一知る男が出会った時、絶望のラストが待ち受ける……。1988年本国公開の本作ですが、2019年になってようやく初めて日本で劇場公開と相成りました。巨匠スタンリー・キューブリックすら震え上がったというこの作品、ネタバレなんか読んでもこの怖さは伝わりません! 是非その目で、この絶望を確かめて下さい。

そして、ゾンビコメディといえばこの映画、エドガー・ライト監督×サイモン・ペッグ&ニック・フロストの黄金トリオによる『ショーン・オブ・ザ・デッド』。日本ではこれまでイベントや名画座などでの限定的な上映こそあったものの、劇場未公開という扱いでした(言葉のニュアンスが難しいですが)。15年の時を経て、2019年に初めてロードショー! スクリーンで観る『ショーン~』、まったく色褪せない傑作でしたね。

ゾンビコメディ映画

『アナと世界の終わり』(5月)
『感染家族』(8月)

シリアスなゾンビ映画はなかなか作られませんが、定期的な供給があるのがゾンビコメディ映画。イギリス発の『アナと世界の終わり』は、ゾンビコメディに青春物語とミュージカルを盛り込んだ“青春ゾンビミュージカル”。クオリティの高い楽曲と、人生の厳しさを突きつけるシビアな展開で、ティーンエイジャーの成長をアツくアツく描きました。ホラー映画の大ファンである監督は、本作が念願の初ホラー作品だったそう。

一方、『感染家族』は韓国発の爆笑ゾンビコメディ。田舎町に住むぼったくり一家が、ゾンビによる若返りビジネスに思いつき、とんでもないゾンビパンデミックを引き起こしてしまいます。『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)の爆発的なヒットでようやくゾンビ映画の人気と認知度が高まったという韓国、本作にもそんな偉大な『新感染~』へのオマージュが!

こんな良作もあるよ

『ハッピー・デス・デイ』(6月)
『マローボーン家の掟』(4月)

観ればきっと誰かに話したくなる! 見逃してほしくない粒ぞろいの良作、ございます。

『ハッピー・デス・デイ』は、ビッチで身勝手な女子大生が、殺される誕生日を繰り返すタイムループ・ホラーコメディ。殺しにくる犯人を突き止め、死亡を回避すればタイムループは止められるのか? 何度も何度も同じ日を生きた主人公の心境の変化が泣かせます(泣)。日本では一作目とセットで観たい続編『ハッピー・デス・デイ2U』と連続上映されました。ソフトや配信で観る際も是非とも2作セットで観て下さい。面白さと感動が段違いです。

『マローボーン家の掟』は、奇妙な掟を守って暮らすマローボーン家を描いた傑作スペイン・ホラー。ホラーだけどホラーだけじゃないんです。驚きの展開に思いっきり翻弄されながら観るのがいいと思いますのでこれ以上は何も言えません! あ、『スプリット』『ミスター・ガラス』『ウィッチ』の女神的俳優アニャ・テイラー・ジョイちゃんが相変わらず素晴らしい存在感を発揮していることはお知らせしておきます。

『ブライトバーン 恐怖の拡散者』(11月)
『アス』(9月)

超人的なパワーを持つ少年が、正義ではなく悪の道に目覚めてしまったら? 愛されて育ったはずのひとりの少年が、田舎町を恐怖に陥れるアンチスーパーヒーロースリラー『ブライトバーン 恐怖の拡散者』。メガホンをとったのはデヴィッド・ヤロヴェスキーですが、『スーパー!』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガンが製作を、ガンの弟ブライアン・ガン、いとこのマーク・ガンが脚本を手掛けています。ジェームズ・ガンに縁のある方々もカメオ出演してますよ!

『アス』は、『ゲット・アウト』で鮮烈な監督デビューを飾ったジョーダン・ピール監督の最新作。自分たちにそっくりな“わたしたち”に襲撃される一家の恐怖を描きます。“わたしたち”はどこから来たのか? そして目的はなんなのか? 『ゲット・アウト』と同じく、現実社会を風刺する物語になっています。意味が分からずに観てもミステリアスで恐ろしく、意味が分かるとまたゾッとするのがジョーダン・ピール映画。鑑賞後はこちらの解説をどうぞ。

『コンジアム』(3月)
『サマー・オブ・84』(8月)

2000年代に大流行したPOVホラーの進化系と言えるのが、韓国に実在する心霊スポット“コンジアム精神病院”を舞台にしたホラー『コンジアム』。ネット生放送で再生数を稼ごうとする若者たちが、心霊スポットに入り、またひとりまたひとりと消えていく……。様々なカメラを駆使して暴き出されるコンジアム精神病院の恐ろしい真実。ちょっとトラウマになるレベルのシーンもありました……。思い出しても震える。

そして、ジュブナイル映画やホラー映画の黄金期である80年代に愛とオマージュを捧げたジュブナイル・スラッシャー『サマー・オブ・84』。「お隣さんが連続殺人事件の犯人では?」と疑った少年が、ボンクラな親友たちと調査に乗り出します。監督を務めたのはチャリンコ版マッドマックスこと『ターボキッド』でカルト的人気を博すクリエイターチームRKSS。

伝説的作品のリバイバル上映

『ゾンビ-日本初公開復元版-』(11月)
『死霊の盆踊り』(12月)

ホラー映画の金字塔と、サイテー映画の金字塔を並べてご紹介しちゃいます。ちなみにどちらも原題が『~オブ・ザ・デッド』だったりも。

この作品なくしてゾンビ映画は語れない、ジョージ・A・ロメロ監督が手掛けた『ゾンビ』の公開40周年を記念し、日本公開時の特別編集版を復元した“日本初公開復元版”でリバイバル上映。これまでソフト化されておらず、公開した当時に観た人の記憶の中にしかない激レアバージョンの復活でした。主要キャストであるケン・フォリー、ゲイラン・ロスが来日したりと、アツい40周年になりましたね。

まさかのHDリマスター版で12/28よりリバイバル上映される『死霊の盆踊り』は、史上最低の映画監督として映画化もされた伝説の男、エド・ウッドによる脚本・原案のエロティックホラー。エロティックホラーと言っても“死霊”という設定の裸の美女たちが延々踊り続けるだけです。“サイテー映画”、“Z級映画”と呼ばれながら、忘れることができない唯一無二の存在感、そしてその珍妙な内容にぴったりの邦題も相まって伝説となりました。

以上!

あなたが観たor観たい作品はいくつありましたか? お気に入りの作品が入っていなかったらごめんなさいね。

2020年も注目したい作品が続々決まっております。1月は小説家・乙一が監督を務める『シライサン』、2月はアリ・アスター監督の話題作『ミッドサマー』、清水崇監督の『犬鳴村』、恐ろしすぎる児童書を映画化した『スケアリー・ストーリーズ』など。以降もたくさんの話題作が控えてますので、情報解禁を楽しみにお待ちください!

キーワード:
最新記事