
大富豪に嫁いだ花嫁が一族伝統の“ゲーム”で命を狙われるサバイバル・ホラー続編、『レディ・オア・ノット2』が現在公開中。監督を務めたマット・ベティネッリ=オルピン、タイラー・ジレットのコンビがインタビューに応じてくれた。
結婚初夜の伝統ゲーム“かくれんぼ”で一族から命を狙われるも、奇跡的に生還した花嫁・グレース。一作目の直後から始まる今作では、グレースがスケールアップしたかくれんぼの標的に。長らく絶縁状態だった妹フェイスと手錠で繋がれ、夜明けまで生き延びなくてはならない。
前作から引き続く衝撃の“人体爆裂”、スリルとユーモア、そして家族の絆を再構築する姉妹のドラマが大きな見どころ。サマラ・ウィーヴィングと『ザ・スイッチ』『アビゲイル』のキャスリン・ニュートンという新世代スクリームクイーンの姉妹役での共演もホラー映画ファンには熱いポイントだ。
監督のお二人に、“人体爆裂”へのこだわりや“姉妹の物語”についてお話を伺った。
『アビゲイル』含めて“人体爆裂3部作”

――『レディ・オア・ノット』シリーズでも、お二人が監督を務めた吸血鬼ホラー『アビゲイル』でも、衝撃的な“人体爆裂シーン”が取り入れられていますよね。そのアイデアはどこから来たのですか? 爆発の見せ方などにも何かこだわりがありますか?
マット・ベティネッリ=オルピン(以下、マット):人体爆裂はもともと、予算の制約をクリエイティブに解決しようとして生まれたものなんです。実は当初の脚本では、一族が生き残ってグレースが死ぬという結末になっていました。でも映画がメチャ楽しい雰囲気なのに、最後にそんな方向転換をしてしまったら観客はがっかりするだろうなって。グレースが死んでしまったらカタルシスがなくなるし、かなりシニカルな結末になってしまう。
そこで、一族が死んで呪いが本物だったと証明される結末にしました。問題はどうやってそれを表現するかです。脚本家のガイ(・ビューシック)とライアン(・クリストファー・マーフィー)が10種類くらい別バージョンを考えてくれたんですよ。長いものもあれば短いものもあって、小惑星が衝突して全部おしまいになるようなバカバカしいバージョンもありましたね(笑)。そんな中で、脚本家やプロデューサー全員が惹かれた案が“一族が爆発する”、これだったんです。もう全員が「これだ、これをやるべきだ!」って。いちばん予想外で面白くて満足度の高い結末でしょう? 技術的にどうするかという課題はあったけどね。『アビゲイル』に取り掛かるときは『レディ・オア・ノット』がまだそれほど多くの観客には届いていなかったんだけど、僕たちは「吸血鬼を爆発させるのも楽しいだろうな」なんて考えて……。

タイラー・ジレット(以下、タイラー):ただ、とにかくやりたかったんだよね(笑)。
マット:そう(笑)。そして『レディ・オア・ノット2』に取り掛かるとき、「よし、これで“人体爆裂”3部作にしよう」と思ったんですよ。新しい形でそれを追求することにしようと。『レディ・オア・ノット』一作目での爆発は“完全なサプライズ”で、誰も予想できない展開にするという試みでした。『アビゲイル』は吸血鬼が登場する全く別の世界観でそれを描きました。そして『レディ・オア・ノット2』に関しては、「誰もがこの展開を知っている」という前提があります。だからあえて隠そうとはせず、さらに進化させられるように知恵を絞りました。爆発の瞬間に生まれる驚きや、楽しさ、興奮、ユーモアを徹底的に追求することにしたんです。新しい作品として何か違うことをやりつつ、あの“お楽しみ”の感覚をしっかりと観客に届けるというのは、本当に面白い挑戦でしたね。
『レディ・オア・ノット』とは真逆の道をたどる愛の物語
――続編を作るうえでどんなことを意識していたのですか?。前作と今作の間に『スクリーム』や『アビゲイル』を手掛けた経験は、何か影響を与えているのでしょうか。
タイラー:2作目にとりかかるにあたって、僕たちの中にあったのは「あの物語の次にどんな展開が可能なのか?」という大きな疑問です。そして、続編ともなると観客は映画のスケールが劇的に大きくなることを期待するだろうとも思っていました。ただ、スケールが大きくなると映画の感情的な部分――“ハート”の部分が失われてしまいがちです。ここは僕たちが大事にしたいポイントでした。スケールが大きくなるのと同時に、ハートの部分も深めたいと思ったんです。観客はすでにグレースというキャラクターに愛着を抱いていますが、そんな彼女の新たな一面を紹介するチャンスだった。それは拡大したスケールの重みを支えてくれる要素でもあります。
そこで僕たちが目標にしたのは“関係性”を見出すことでした。最初の草案の段階から、この物語のコアの部分にはエモーショナルで純粋に感じられる関係性が必要だと分かっていた。それがグレースと妹・フェイスなんです。フェイスを演じてくれたキャスリンとは『アビゲイル』で一緒に仕事をしましたが、彼女の存在が“姉妹の物語”というアイデアを確かなものにしてくれました。色んな点で一作目の『レディ・オア・ノット』とは真逆の道をたどる愛の物語にするべきだと確信させてくれたんです。

関係を再構築する姉妹の物語
――サマラとキャスリンという二人のスクリーム・クイーンが姉妹役を演じるのは本当に素晴らしいアイデアだと思いました。姉妹という関係性があることで、どんなドラマや感情を描くことができたのでしょうか?
マット:この作品を作る上で、僕たちがいちばん楽しみにしていたのは“姉妹の絆を描く”ということです。『アビゲイル』でキャスリンと仕事をしたときに、彼女は“サマラと似ている部分”と“対照的な部分”を併せ持っていることに気付いたんです。そんな二人を組み合わせるというアイデアにとてもワクワクしました。
ドラマの面で言うと、1作目ではグレースと夫のアレックス(マーク・オブライエン)が愛し合っている様子から始まり、そこから映画が進むにつれて二人の関係が崩壊していきます。今回の作品ではその逆のアプローチを取りたかったんです。つまり、関係をゼロからスタートさせ、映画を通してその関係を再構築していくということ。まさにそこがこの物語の核心だったんです。単に、第一幕の終わりで仲直りして一緒に冒険する……なんていう話ではなくてね。
命を狙う連中に追われながら、二人が“二歩進んで一歩下がる”ような歩みを続けていく。その過程をリアルで説得力のあるものにしたかった。不条理な極限状況のなかで、二人が再び愛を育んでいく姿を見られる楽しさこそが、僕たちがこの映画で何よりも描きたかったことなんです。なので、彼女たちが言い争ったり、仲直りしたり、姉妹らしいやり取りを見せるシーンは、とても自然で“生活の匂い”が感じられるものになりました。それこそがこの映画を本当に特別なものにしていると思います。サマラとキャスリンは、僕たちの期待をはるかに超える形で、その関係性に命を吹き込んでくれました。

サマラとキャスリンは「本当に姉妹のよう」
――撮影現場でのサマラとキャスリンはどんな様子でしたか? 何かエピソードはありますか?
タイラー:いやあもうほんとに、悪夢のような撮影で…………なんつって(笑)。冗談ですよ、素晴らしい二人でした。彼女たちの相性の良さはかなり早い段階から感じていました。キャスリンのキャスティングが決まる前ですが、彼女を映画に出したかったので、ハリウッドのエル・キャピタン劇場で1作目の上映会があったときにキャスリンとサマラが一緒に過ごせる機会を設けたんです。食事会の席で二人は初めて直接顔を合わせました。マットと僕は、彼女たちを同じテーブルに座らせて、なんとなく様子を見ていたんです。そしたら、二人は一緒にいて本当に楽しそうにしていて、まさしく姉妹みたいだったんです。まるで二人だけの共通言語があるかのような雰囲気さえありました。その様子は、その後の撮影現場でも毎日目にすることになりました。
現場で彼女たちが一緒に仕事をして、深い友情を築いていく姿を見るのは本当に嬉しかったです。実生活でも、お互いを支え合い、愛情を込めて軽口を叩き合うような関係なんです。そして、そこから「憎み合っているけれど、心の底では愛し合っている」という役柄のモードに切り替える瞬間を見るのも興味深かったですね。その関係性はあまりにリアルでした。映画の中での二人の相性の良さは演技で作られたものではなく、ホンモノだったんですよ。
『レディ・オア・ノット2』公開中















