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【インタビュー】1本の映画にどれだけモンスターを詰め込めるか? 『デスストーカー』コスタンスキ流ファンタジーの作り方

2026.07.05 by

ロジャー・コーマン製作の『勇者ストーカー(Deathstalker)』を、『サイコ・ゴアマン』のスティーヴン・コスタンスキ監督がリブート。自身初のファンタジー映画『デスストーカー』が、パペットホラーにオマージュを捧げる『フランキー・フリーコ』と同時公開中だ。

デコラティブなモンスターがこれでもかと登場し、血もユーモアもたっぷり。どこまでもコスタンスキらしいファンタジーに仕上がっている本作について、お話を伺った。

――もともと原作には思い入れがあったんですか?

スティーブン・コスタンスキ監督:もちろん『デスストーカー』自体も好きだったんですが、新しいジャンルへの挑戦に一番ワクワクしたんです。ファンタジーはやったことがなかったし、そのジャンル自体のファンでもあります。10代の頃、ビデオ店で『デスストーカー』シリーズを借りて観ていましたから、作品には馴染みがありました。一番好きなのは2作目でしたね。でもやはり、自分自身のファンタジー映画を作れるという点が一番楽しみなポイントでした。

――すでにある世界観を自身の手で再構築する上で、念頭に置いていたコンセプトや目標はあったんでしょうか。

コスタンスキ監督:僕が重視した主なコンセプトは、「小さな状況に置かれた小さなキャラクターたちの視点から、壮大なファンタジー映画を描く」ということでした。だから、壮大な出来事は常に画面の隅や背景に映るようにしたかったんです。『プライベート・ライアン』からも少し影響を受けています。周囲で戦争が繰り広げられる中、はみ出し者たちの集団が旅していくという構図に惹かれたんです。そこでは、すべてを見渡すような神の視点ではなく、あくまで“地上”にいるキャラクターたちと同じ目線で物語が展開する。常にキャラクターたちと共に、地に足をつけているような感覚ですね。予算的な事情もあったけれど、何よりそうした視点からファンタジーを描くのが面白いと思ったんです。

――私はもともとファンタジー映画があまり得意ではなくて。そのジャンルの色んな前提に慣れていないと世界観についていけない感覚があったんです。ですが今回の『デスストーカー』はずっと楽しくて、全く置いていかれない、のめり込んで観てしまう感じがありました。コスタンスキ監督はジャンルの初心者にも楽しんでもらうような意識で作品を作っているんでしょうか?

コスタンスキ監督:僕はビジュアルを重視する監督で、モンスターや幻想的な世界を創り出すことが大好きです。映画作家としては、理屈や頭で考えるよりもむしろ、心で物事に向き合っているんだと思います。例えば、ファンタジー世界の細かな設定や、悪役とヒーローの複雑な駆け引きといったディテールには、それほど惹かれません。そうした細部にはあんまり興味がないんです。僕が関心を抱くのは、あくまで“人間”であり、壮大な状況が個々の人々にどのような影響を及ぼすかという部分です。より人間味のある視点からアプローチしているからこそ、作品に魅力が生まれるのだと思います。

僕自身、映画に求めているのはそういう部分ですし、お気に入りの映画もみんなそうです。例えば、オリジナルの『スター・ウォーズ』にしても、宇宙を舞台にした壮大なスペース・オペラでありながら、その本質は極めて人間的な物語ですよね。だからこそ、誰もが楽しめる作品になるのだと思います。独自の世界観や設定の細部にこだわりすぎて、どこか無機質でとっつきにくくなってしまう他のジャンル映画とは、そこが違うのかなと思います。


――なるほど、すごく納得しました。ファンタジー映画を撮りたかったとおっしゃっていましたけど、ファンタジーとなると世界をまるごと作らなくてはならないですよね。かなり大変だったのでは?

コスタンスキ監督:本当に限定的な予算で『デスストーカー』の世界観を構築しなければならなかったので、とてもシビアな挑戦でした。80年代のファンタジー映画はアルゼンチンやヨーロッパで撮影されていますが、僕たちの撮影地はカナダ北部だったんです。撮影に使えるような古い城がほとんどないんですよ。ファンタジー作品らしいロケーションがなく、使えるのは採石場や森といった場所でした。なので、この映画の舞台を“戦争によって荒廃した殺風景な土地”として描くという方向性にしました。でも同時に、ファンタジーならではの壮大な映像体験も届けたかった。そこで、世界観をより大きく見せるために、昔ながらの手法を積極的に取り入れました。マットペインティングやミニチュアなどですね。実際のロケーションにファンタジー的な要素を加えて、より魅力的な映像に仕上げられたと思います。

――『サイコ・ゴアマン』のときに「たくさん怪人が出てくるから作るのが大変だった」とおっしゃっていましたけど、今回の作品ではそれをさらに上回る数のモンスターたちを登場させていますよね。ご苦労のほどはいかがだったでしょうか。

コスタンスキ監督:そうなんですよ、『サイコ・ゴアマン』での教訓は活かされませんでした(笑)。むしろ、あえて自分に負荷をかけていたかもしれません。だって、そういう挑戦が大好きなんですから。“1本の映画にどれだけのモンスターを詰め込めるか”を考えるのが好きだし、それが自分の専門であり、得意分野なんです。この映画に出てくるモンスターは素晴らしいチームのみんなと作ったんだけれど、私自身も造形や塗装、製作といった作業の多くに携わっています。映画を作るのと同じくらい、モンスターを作るのが大好きなんです。どれだけ大変な作業になっても、モンスターが満載の映画を作るというのは、私にとって常に最高のシチュエーションなんですよね。


メイキング写真 ドレダイトの頭部を作っているコスタンスキ監督

――場面が切り替わるときに端っこにいるカエルも魅力的でしたね。普通のカエルじゃなくて、牙の生えた“この世界”のカエルというのがとても楽しくて。

コスタンスキ監督:みんなあのカエルは気に入ってくれますね(笑)。『デスストーカー』の世界には悪意のあるクリーチャーばかりではなく、他にも奇妙なクリーチャーが存在していることを示唆したかったんです。実は『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』のちょっとしたオマージュでもあるんです。ジャバ・ザ・ハットの宮殿の外に、一瞬だけ奇妙なカエルが登場するんですよ。あれをやりたかったんです。

――ご自身が特に気に入ってるキャラクターはいますか?

コスタンスキ監督:どれも気に入ってるんですよね。毎日違うけど、今日の気分で選ぶなら“スカラバス”かな。彼はサイクロプス(単眼の巨人)のミイラ版といった感じのキャラクターなんです。僕自身ミイラが好きだし、映画にミイラを登場させる良い口実にもなりましたから。それに、90年代に短期間だけ放送されていたアニメ作品へのちょっとしたオマージュでもあるんです。『Mummies Alive!』という番組で、いわばミイラ版『ミュータント・タートルズ』のような作品でした。あのキャラクターたちを少し意識しているんです。


コスタンスキ監督のお気に入り、スカラバス

――『フランキー・フリーコ』のときのインタビューで“おもちゃが欲しくなるキャラクター”を想定してデザインするとおっしゃっていましたが、おもちゃが欲しいキャラクターは?

コスタンスキ監督:難しい選択ですね! シリーズで全部揃えたいので(笑)。でも特に“ドレダイト”はフィギュアにしたらすごくカッコいいんじゃないかと思います。赤い鎧をまとった、悪役の手下のような連中ですね。特撮に出てくる怪人のような、大胆な色使いが特徴で、フィギュアに落とし込んだらすごく映える気がするんですよ。いっそのこと、自分で作ってみようかとも思っています。絶対にカッコいいものができると思うので。

――ドレダイトはカッコよかったですね。私はドゥーダッドもお気に入りなんですが、あのキャラクターは何がインスピレーションになってるんでしょうか。

コスタンスキ監督:色んなところからインスピレーションを得ているキャラクターなんです。80年代の『マスターズ・オブ・ユニバース(マスターズ 超空の霸者)』のグウィルダーに結構似ているかも。『スター・ウォーズ』のヨーダと比較する人もいますが、個人的にはむしろパロディ映画の『スペースボール』のヨーグルトのほうに近いと思います。それが彼のデザインのインスピレーションの一つになったのかもしれません。ゴブリンの相棒というのはファンタジー作品では定番のキャラクターなので、自分なりの解釈で表現してみたかったんです。これはちょっとした豆知識ですが、ドゥーダッドの手を作る時間がなかったので、数年前に作った映画『レプリコーン・リターンズ』でレプリコーンに使った手やグローブをそのまま使っているんですよ。

――『サイコ・ゴアマン』や『フランキー・フリーコ』もそうですが、アストロン6のメンバーのコナー・スウィーニー、アダム・ブルックス、マシュー・ケネディが本作にも出演していますよね。彼らに本作の話をした時、どんな反応を示していましたか?

コスタンスキ監督:みんな、ある種の感慨深さを感じていたと思います。というのも、私たちが初期に一緒に作ったものの一つに『Goreblade』という短いウェブシリーズがあって、『デスストーカー』のパロディのような作品だったんです。それから何年も経って、実際に『デスストーカー』の映画を制作することになった。それで彼らに出演のオファーをするというのは、私たち全員にとって、どこか非現実的で不思議な感覚を覚える体験だったんです。彼ら全員に出演してもらうことは、僕のこだわりでした。彼らは観客を楽しませてくれる存在だし、才能ある友人たちを自分の映画に起用できるのは素晴らしいことです。それに撮影現場に友人がいてくれるというのは、いつだって素敵なことですからね。

――彼らの役柄は彼らが演じるのを想定して当て書きするのですか?

コスタンスキ監督:実際にキャスティングできるかどうかには様々な要因が絡んできますが、多くの場合は「彼らが出演できますように」という願望を込めて書いていますね。「この役はアダムにぴったりかも」「酒場にいるこのお調子者の役は、マシューならうまく演じられそうだな」といった具合に、彼らの顔を思い浮かべながら。ハルガン王子については、間違いなくコナーをイメージしていました。“気取った王子様”というか、ちょっと鼻持ちならない王子様のような感じを想定していて、彼にぴったりですよね。脚本家や監督として、すでに親しい間柄で、その人の癖や雰囲気をよく知っている俳優を念頭に置いて書くというのは、間違いなくプラスになります。シーンの展開や、どんな楽しい瞬間を作れるかといったアイデアの助けになりますから。

――今回の作品はシリーズ化にぴったりですよね。作り手として続編を作りたいという想いはあるんでしょうか。

コスタンスキ監督:ぜひ作りたいですね。ただ、いつものことですが、結局は資金の問題になってしまうんです。『デスストーカー』も『サイコ・ゴアマン』も『フランキー・フリーコ』も『ザ・ヴォイド 変異世界』も、僕が手がけた作品はどれも続編を作るのにうってつけの題材ばかりなんですけどね。何しろハリウッドは、企画を立ち上げるのが難しい場所です。最後は必ず「投資家にとって金銭的な魅力があるか」という点に行き着いてしまう。

あまり期待しすぎないようにはしていますが、でも『デスストーカー』の続編はぜひ作りたいと思っています。デスストーカー役のダニエル・バーンハードも100%乗り気なんです。彼はあのキャラクターをとても気に入っていて、今や彼自身が“デスストーカーそのもの”と言えるくらいですよ。この世界観を広げるきっかけがあれば最高ですし、追求できる続編のアイデアも山ほどあるんです。

『デスストーカー』公開中

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