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自分が書いた脚本通りに死んで行く人々「私って神じゃね?」的にぎやかホラー『温泉しかばね芸者』:ゆうばり映画祭レビュー

2018.03.18 by

この記事は1年以上前に掲載されたものです。


特撮からアニメ、エログロ、SFと、多彩なジャンルの作品が上映され、その“ふり幅の広さ”で毎年話題を集めている『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018』。3月19日まで開催されています。

個性的なラインナップの中から、ホラー通信むけに、ホラー/サスペンス作品をご紹介。2本目は『温泉しかばね芸者』です。

【ストーリー】
冴えない脚本家・村井実紗は、新しい台本を提出しては、監督にダメ出しされるばかり。そんななか、閉ざされた山奥の小さな村に“呪われた芸者伝説”があることを聞く。早速ロケハンに向かう一行だったが、話を聞くうちにアイデアが湧き、トンデモないスピードで呪われた芸者のシナリオを書き上げていく実紗。しかし、同行していた制作会社の社長が殺されてしまう。殺した相手は、なんとあの呪われた芸者だった!!!段々とシナリオ通りに芸者が動くことを知った実紗は、日頃の恨みをシナリオのなかで晴らし始めるのだった。(47分50秒)

温泉としかばね。ホラー通信読者の皆さんがきっと大好きであろう2つが組み合わさった、カツカレーの様な贅沢な響きです。温泉と芸者ということで、観る前から楽しい音楽が鳴り響く宴会の様な映画じゃないのかな? と思っていたのですが、実際に楽しくて明るいほがらかな血だらけ映画でした。

主人公・村井は、映画に対するアツい気持ちはあるものの、いつも監督に怒られてばかりの冴えない脚本家。「空前のホラーブームに沸く日本」が本作の背景であり(現実にもそうなったらいいね)、村井も恐いホラー映画の脚本を書くことを迫られています。

そんな中、呪われた芸者の伝説を持つ寂れた村にロケハンに行くのですが、製作会社の社長がアホで、呪いをおさめる為に建てていた封印的なものを蹴飛ばして、しかばね芸者が復活してしまうというわけなんです。しかも、村井が脚本を書いたとおりに人がバッタバッタと死んでいくので、村井は「あれ、私ってこの世界の神じゃね?」的な全知全能感を手に入れ、どんどん脚本を書き進めていきます。

この、主演の辻凪子さんのパワーがすごかったです。前半の冴えない感じと、覚醒してからの目のランランとした感じがとっても素敵。あどけない見た目でして、それゆえにピュアな残酷さが際立っていました。

制作会社にはってる『人間ムカデ』のポスターとか(ムカデが人間みたいになってるイラスト付き)、ゾンビの真似してゾンビに紛れて逃げるシーンとか、キャラクター名が“ふるち・るちお”だったり、ホラー愛満点の小ネタもいい感じ。要所要所「???」って箇所があることはあるんですけど、映画愛と勢いと熱意のかたまりみたいな作品で、終わった後「くだらねーっ!w」って愉快な気持ちになれる作品です。


本作は見事「審査委員特別賞」を受賞。鳴瀬聖人監督は大阪芸術監督の卒業生。今後の活躍に期待です!


ちなみに、主演の辻凪子さんが共同監督として参加した短編作品『ぱん。』は、インターナショナル・ショートフィルム・コンペティション部門のグランプリを受賞。ご注目を。

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