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バズりたかった“ゾンビの一家”、炎上中。 ユーモラスな社会派エンターテインメント『噛む家族』拡大ロードショー

2025.05.21 by

『噛む家族』

テアトル新宿にて開催中の「田辺・弁慶映画祭セレクション2025」で5月9日~5月16日まで上映された中編ゾンビ映画『噛む家族』が、好評を受けて5月30日(金)から拡大ロードショーされることが決定した。

「第18回 田辺・弁慶映画祭」で最高賞や観客賞など5冠を獲得した本作は、多様性とSNSの時代に“ゾンビ”という少数派の生き方を描く、ユーモラスな社会派エンターテイメント。

本作を手掛けた新鋭 馬淵ありさ監督は、SNSが当たり前になり、日々誰かが炎上している現代において「顔も見えない人々がじわじわと数を増して対象を追い詰めていく様子をゾンビ映画の中で表現したいと思った」とその着想を明かしている。※コメント全文は記事末に掲載

人を見ると理性を失い、噛みついてしまうゾンビの家族は、人目につかないように家の中から一切出ることなく静かに暮らしている。しかし父親は、外の世界を知らない娘のために「人間と共存していきたい」「せめて自分たちを受け入れてほしい」と考えていた。ある日、家の前で起こった事故の被害者に娘が噛みついてしまい、父親はこれをきっかけに、このままゾンビ感染者を増やしていこうと試みる。SNS上ではゾンビは物珍しく、多様性の時代だと持てはやされるが、ゾンビ一家の炎上をきっかけに世論が変わっていく――。

じわじわと可笑しく、どこか苦々しい予告編はこちら。ゾンビ一家の先行きが結構不安。

<馬渕ありさ監督 コメント>
ここ10年ほどで、SNSと常に隣り合わせな生活になったことで、人が潜在的に持っている攻撃性を目にしやすくなったのではないかと感じています。毎日誰かしらがネット上で叩かれ炎上している中で、顔も見えない人々がじわじわと数を増して対象を追い詰めていく様子を今回ゾンビ映画の中で表現したいと思い、本来大勢で追い詰める側の”ゾンビ”という種族が少数派で、多数派である人間に追い詰められるという構図で制作しました。直接顔を合わせることなく、一瞬で簡単に文字だけで攻撃できるのが当たり前になった社会で今一度自分たちを客観視して、滑稽に表現できていればと思います。

『噛む家族』
5月30日 ( 金 ) より池袋シネマ・ロサほか全国順次ロードショー

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