この記事は1年以上前に掲載されたものです。
ホラーとテクノロジーを組み合わせた企画でいつも我々を震え上がらせてくれるホラテク集団・株式会社闇(※実際の社名)が、今度はお布団に入って寝ながら体験する『金縛りVR』を発表。クラウドファンディングで制作資金を募ったこの企画がいよいよ形となり、メディア&出資者向けの体験会が開催されました。
これは体験しないわけにはいかない。ホラー通信・ガジェット通信編集部の中でもとびきり怖がりで怖いもの好きのスタッフ3名で体験してきました。
『金縛りVR』の一般公開は未定だそうですが、今後開催される場合のためにネタバレ無しでレポートいたします。後半にはO記者による動画レポートもございますので動画派のあなたは下のほうまでズズイとスクロールしてご覧ください。
会場は日差しのよく入る明るい雰囲気の場所でしたが、それを毒するかのように物々しいポスターとおびただしい数のコケシ、破損した人形で飾られていました。独特のインテリアセンス。
人形が思いっきり壊れています。思わず「株式会社闇の人が笑いながら床に叩きつけたのかな……」と疑いましたが、「たまたま壊れちゃったのでそのまま飾りました」とのことです。疑ってしまって申し訳ない。
まずは始まる前の注意事項です。おびただしい数の御札が否が応でも目に入りなんとも厭な雰囲気。
しかしスタッフの方はあくまで優しく注意事項を読み上げてくれます。注意事項は「心臓の弱い方は…」云々といったよくあるものですが、その中に「一部不快な表現があります」という一文を見つけ、縮み上がりました。
なに? 不快な表現てなに? ありとあらゆる良くない想像が脳内を駆け巡ります。
謎のコケシを手渡され、いよいよ物語のなかに入っていきます。御札だらけのカーテンで仕切られた真っ暗な小部屋に入り、古びたラジオから我々が今どんな状況にいるのか説明する声が聞こえてきます。
旅行でやってきた田舎町で、見てはいけない呪いの人形を見てしまった私たち。その呪いを解くために、“身代わりのコケシ”を抱いて一晩過ごさなくてはならないようです。(※金縛りVR自体は4分程度です)
「絶対にコケシを離さぬよう……」 そう念押しされます。そんなこと言われたの人生で初めて。
「なんでそんな怪しい田舎町に行ったんだろう」「“身代わりのコケシ”ってなに」様々な想いが胸中を駆け巡り、この時点で心臓がバクバク言いますが金縛りVRはここからです。いよいよお布団ゾーンに行きます。
御札の貼られた仕切りや、転がった人形が不穏すぎる。床は畳です。VRなのに、映像だけに頼らず世界観ばっちり作ってるところがニクい。更に、寝かされはするものの、大変親切なことに幽霊を見やすいように少し背中をあげた姿勢にしてくれます。い、いいのに……。
体勢が整うと、金縛りを物理的に体感できる重たい固定具を胸のあたりに装着します。ずっしりとくる感触が早くも精神を蝕んできます。金縛りってこんな感じか……。金縛りバージンの筆者にもよく分かりました。
そして、スタッフの方が優しくVRゴーグルとヘッドフォンを装着してくれます。ゴーグルに映っているテスト画面にきちんと焦点があっているかを確認。「きちんと見えていますか?」 見えたくないんですけど、と思わず返しそうになりますが、残念すぎるほどよく見えます。
フカフカのお布団もかけてくれました。お布団をかけてこんなに気が休まらないこともあるのか。
しかし、このあたりでこれから始まる恐怖に対してやや悟りが開けてきます。すぐ終わるのだ、心を無にしていればすぐ終わるのだ。怖くなんてないさ、心頭滅却すればなんとかってやつさ……
ついにVR映像がスタート。
古びた和室で、私はお布団に寝ています。布団の周りを見回し、「こんな不気味な部屋なのかよ……」と思っていると、物音がして、ビクン!! あ、なんだ、布が落ちただけか……。
あれ……
なにかがいるような
アッ……
アッッ…………
来てる
めっちゃ来てる
来ないで
来ないで……
来ないで―――――――――
『金縛りVR』は、VR映像のほか、自分がまさしくその場にいるかのような立体音響、布団などに仕掛けられたエフェクトにより、よりリアルに怨霊の恐怖を体験することができるのです。圧倒的没入感、そして身動きのとれない物理的“金縛り”。これを二文字で表現するなら“絶望”です。
殺意むき出しの怨霊たちがお布団に入った自分をめがけてにじりにじりと近寄ってきます。なぜ頭までお布団をかけてくれなかったのでしょうか。お布団かけてたら怨霊に見つからなかったかもしれないのに。目の前までやってきた怨霊と、めちゃくちゃ目があいます。殺意が逃れようもなく自分に向かっている。そう実感することが日頃ありましょうか。まるでライオンの檻に入ってしまったウサギです。
呪いの人形を見てしまった私を、村人はこの怨霊たちに生贄として差し出したのでは? ちくしょう、だましやがったな。会ったこともない物語上の村人を恨みます。
『金縛りVR』はVRの特性を活かし、お化け屋敷では有り得ないほど怨霊たちが超至近距離までやってきます。怨霊たちはあまりにも近く、VRだから実体はないはずですが確実に何かが私に触れました。霊が触れたのか私の気が触れたのか分からない。助けて、もうやめて!
そう思った瞬間映像の中でとんでもないことをされてしまいます。
ウ、ウワ――――――――――――――――――!!
握りしめた身代わりのコケシが手汗でびしょびしょになるころ、ようやくすべてが終わりました。
ゴーグルを外して現実に帰ります。現実に帰ったはずなのに、現実とVRの境目が曖昧になる演出もあり、またゾワッとさせられます。
「お疲れさまでした」
優しく声をかけてくださるスタッフの方。「お憑かれさまでした」という意味だったのかもしれません。となりでは、まだ体験の終わらない同行スタッフMの甲高い悲鳴が聞こえていました。がんばれ、生き抜いてくれ。
カーテンを抜けて完全に現実に戻りましたが、身体はヘトヘト、何歳か年を取ったような気分です。
参考までに、こちらは体験前・体験後のO記者の姿です。
なくなりましたね、生気。
そんなO記者の体験動画はこちら。※ネタバレ無し
以前体験したホラー観覧車『血バサミ女の観覧車』でも感じたことですが、単に怖いだけでなく「どんなテクノロジーで驚かせてくれるのだろう」というワクワク感もあるのは、ホラテク集団の株式会社闇ならではだと思います。
ネタバレ防止のため詳しいことは伏せますが、今回の『金縛りVR』でも、終わったあとにあれこれと話したくなる面白い技術がたくさんありました。その内容は是非実際に体験していただきたいところ。『金縛りVR』一般公開が実現することを願っています。
最後に、こちらが株式会社闇の社長・トンカさん。目玉いっぱいのパソコンがカワイイ。今後も怖い企画を期待していますよ!