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『ドクター・スリープ』ユアン・マクレガー&カイリー・カラン インタビュー 「小説のファンが映画の中で見たかったものを与えたと思う」

2019.10.07 12:30 by

スティーヴン・キングの同名小説をスタンリー・キューブリック監督が映画化した『シャイニング』。その惨劇から生き残ったダニーの40年後を描く映画『ドクター・スリープ』が11月29日(金)に日本公開を迎える。

今年8月、ロサンゼルスで各国のメディアを集めたロングリードインタビュー(先行取材)が実施され、大人になったダニーを演じた主演のユアン・マクレガーと、特別な力を持ち物語のカギを握る少女アブラ役のカイリー・カランがインタビューに応じた。

ユアン・マクレガーが太鼓判を押すカイリー・カランの演技

――あなたたちは二人とも、“シャイニング”と呼ばれる特別な能力をもった素晴らしいキャラクターを演じています。どのようにこの役に取り組みましたか?

カイリー・カラン:私は、スーパーパワーを持った普通の人として演じたの(笑)。

――(一同笑)。特に何か気をつけたことはありますか?

カラン:特にないわ。私はただこの役に飛び込んだだけだと思う(笑)。

ユアン・マクレガー:脚本の中で(キャラクターは)とても明確なんだ。信ぴょう性があるようにとてもうまく書かれている。そして、ダニーとアブラのコミュニケーションは、一部テレパシーのようなものでなされるんだ。彼らは、お互いの頭の中で、お互いのことを聞くことが出来る。僕らが初めて出会う時、最初のセリフは……。

カラン:「あなたは私の声が聞けるのね」。

マクレガー:そうだ。僕は、彼女が(口に出して)言わなかったことを(テレパシーのようなもので)言っていることに反応しないといけなかったんだ。それをセットでやるのは楽しかった。ほとんどトリックみたいだからね。

――ほとんど演技のメタファーみたいですね。演技が聞くことなら、あなたたちは本当にお互いのことを聞かないといけないんですね。お互いの微妙な表情を。

マクレガー:そうなんだ。彼女はとても良い役者だよ。僕らがそのシーンを最初に演じた時、ダニーは特別な力を使って彼女を助けようとするんだ。ダニーはそれまでの人生でそのパワーをずっと抑え、感じないように過ごしてきた。なぜなら、彼はそれがこわいからだよ。呪われたホテルで彼に起きたことのせいでね。

――二人はキャラクター同士の関係をどのように築いたんですか? 事前に一緒に過ごしたりしたんですか。

マクレガー:いくらかリハーサルをしたよ。少しだけね。

カラン:私たちは監督とちょっとミーティングをして、キャラクターや脚本について話し合ったの。

マクレガー:ああ、そうだったね。アブラ役をキャスティングしている時、僕らは一緒に(オーディションのためにセリフを)読んだんだ。僕は多分、6人か7人のいろんな若い役者たちと読み合わせをした。その時に僕らは初めて会ったんだ。そして彼女が部屋を出て行った時、「彼女じゃないとだめだ」と言ったんだよ。

――どうして?

マクレガー:とても自然なんだ。それに本当に天賦の才がある。生まれつきの能力がね。若い役者たちがやって来ると、彼らはよく準備してきて、彼らの演技の先生とか両親とかによってリハーサルされている。だから、違うムードや違う感情で出来るかどうかを見てみようとする。ほとんどの人たちはそれが出来なかったけど、カイリーは一つのシーンをいろんなやり方で演じることが出来るんだ。

――監督のマイクは、酔っ払いのアイルランド人の家系だと話していました。この本は再生することについて描いたものだということですが、あなたにとって中毒や、再生することにはどういう意味がありますか?

マクレガー:そうだね。僕はお酒を飲まないんだ。もう20年間になるかな。僕にはアルコールの問題があったからやめたんだ。だから、これは仕事においてそれを掘り下げるための最初の機会だった。僕らが今作でダニーに出会う時、映画は彼がまだ子どもの時から始まるんだ。だから、本当に『シャイニング』の続きなんだ。そして僕が(ダニーを)引き継ぐ時、彼はどん底にいる。スティーヴン・キングの小説では、ある出来事が起きる。彼が受け入れるのがとても困難だと思うことが、ある夜に起きるんだ。それで彼はシラフになることになる。僕がそれを演じるのは、興味深かった。(カランに向かって)君はまだこういうことは何も経験していないだろうね。

カラン:ないわ!

――(一同笑)。ユアン、あなたが『シャイニング』を初めて見たのはいつ頃で、当時どんなインパクトを受けましたか?

マクレガー:僕は、18歳か19歳まで見なかったんだ。君は12歳くらいの時に見たんだよね。

カラン:そう、私は(この映画の)参考のために見たの。私にとって『シャイニング』は自由に見ることが出来るホラー映画だったの。なぜって、普通こういうものは見られないから。私の母が知っていたらね。

マクレガー:1980年に『シャイニング』が公開された時、僕は9歳だった。僕は公開時にはもちろん見なかったけど、覚えているのは、人々が史上もっともこわい映画として話していたことだよ。だから見なかった。こわいのはあまり得意じゃないからね。

小説のファンが満足できる作品に

――今作は、映画史上もっとも愛されている作品のひとつです。世界中の映画ファンたちが、分析してきました。あなたは、この映画の続編をやることにためらいはなかったですか?

マクレガー:ためらいはなかったよ。でも、マイク(監督)が小説のファンと映画のファンを満足させるというとても難しい責務を負っていることを心配したよ。なぜなら、それらは二つのまったく違うことだからだ。キューブリックが原作の大部分を改変したことを、スティーヴン・キングが嫌っていたことはよく知られている。だから、「彼はどうやって満足させられるんだろう?」と考えていた。彼はそれを見事にやり遂げたよ。ある意味、過去の傷のいくらかを癒したと思う。

――(一同笑)

マクレガー:本当にそう思うよ。彼は、『シャイニング』の小説のファンが映画の中で見たかったものを与えたと思う。今作の中でね。それはとても明らかだよ。それ以上のことは話せないけど。

――今作で『シャイニング』の有名な呪われたホテルのセットを再現しました。そのセットにいるのはいかがでしたか?

カラン:ネタバレをしない範囲で言うと、雪があったわ(笑)。偽物の雪だったの。紙の雪だった。スノー・エンジェルを試してみたけど、(人型は)出来なかった。

マクレガー:僕はカーペットの一部をもらったんだ。ゴールド・ルームのバーから。ダニーが(三輪車に乗って)回ったり、ボールが転がってくるあのアイコニックなカーペットだと思ったから。子ども部屋に敷きたかったんだ。

――あなたの子どもたちの部屋にですか!?(笑)

マクレガー:そうだよ。とても可笑しいと思うんだ(笑)。

――あなたは、ダニーの特徴をつかむために、映画を何度も見直しましたか?

マクレガー:いいや、今作の準備のために見たけど、それだけだった。微妙なラインなんだ。キューブリックの映画にオマージュを捧げるというのがいくらかある。でも少なくとも、僕らは『シャイニング』でバーにいるダニーを見なかった。僕がジャック・ニコルソンをコピーする必要はないんだ。なぜなら、彼は僕の父親であって、僕じゃないからだよ。「おお、ちょっと待ってくれ。これは見たことがあるぞ」と感じるシーンはある。でもそれは、それらは似た方法で撮影されたからだ。

――これは明らかにホラー映画です。だから、見客はある恐怖を期待していると思います。今作からどんな恐怖を期待すれば良いのでしょうか? 飛び上がってこわがるようなタイプの映画でないことは知っていますが。

カラン:スーパーナチュラル・スリラーなの。スラッシャーで、(怖くて)飛び上がるような作品じゃない。それよりも、プロットが人々を怖がらせるのよ。

――あなたたちは、パラノーマルなことを信じていますか? 何か、この世のものではないようなことを。

カラン:私はとても懐疑的なの。でも、違う次元があることは信じている。私たちの宇宙は巨大なの。そして、私たちだけしかいないわけじゃない。でも、念力とかそういうことについては分からないわ。

マクレガー:わからないよ。ただ僕らが理解していないエネルギーのようなものがあると思う。(理解していない)コミュニケーションみたいなものが。なぜなら、僕らは、言葉やビジュアルじゃない何かをお互いから感じると思うからだよ。ムードみたいなものをね。部屋に入って行くと、誰かを感じることがある。それは何なのか、よく理解できない。何年も会っていない人のことを考えていたら、次の日とかにその人から電話がかかってきたりする。そういうことがあるものだ。僕がよく理解できないエネルギーのようなものがあるんだ。そして、パラノーマルとか、特別な力とかは、そういう世界の一部なんだと思う。わからないけど、多分ね。

――レベッカ・ファーガソンと一緒に仕事をしてどうでしたか? 彼女は今作でヴィラン(悪役)を演じているんですよね。

マクレガー:そうだよ。

カラン:彼女はすごく可笑しいのよ。

マクレガー:僕らは、彼女とは最後になるまで、それほど共演しなかった。見てもらえばわかるよ。今作には合流するたくさんのストーリーラインがあるんだ。まず初めに、若いダニーがいる。それから僕だ。あとはカイリーとレベッカ。

カラン:そして、すべてが合流するの。

マクレガー:それからは、すごい勢いで進むんだよね。彼女と一緒に仕事をするのは楽しかったよ。

(聞き手:細谷佳史)

『ドクター・スリープ』
11月29日(金)全国ロードショー
公式サイト:doctor-sleep.jp

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