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1983年にオーストリアで誕生したシリアルキラー映画『アングスト/不安』が、7/3より日本初劇場公開。
本作は、1980年にヴェルナー・クニーセクという人物が起こした一家惨殺事件を描く実録スリラー映画。“殺人鬼の心理を探る”という危険な野心のもと製作された本作は、実際の犯行を真横で見ているかのようなドキュメンタリータッチの映像で事件を綴る一方、独特のカメラワークと音楽を用いて狂人の心理に観る者をリンクさせる衝撃的な作品だ。その内容から世界各国で上映禁止の憂き目にあっている。
今回ご紹介するのは、凄惨な事件を起こした主人公K.の、常軌を逸した様子を捉えた場面写真だ。犠牲者の血を浴び、顔を歪ませて絶叫する姿や、目が座った表情で着衣を整えている姿などが映し出されている。よだれを垂らし、生気のない目をした写真は、よく見ると血まみれの人物がK.の腕に抱かれているのがお分かりいただけるだろう。
これらのシーンに至る経緯はもちろん本編でご確認いただくとして、本作のモデルとなったヴェルナー・クニーセク本人についても触れておこう。
過去に幾度も犯罪を重ね、刑務所に収監されていたクニーセク。本作で描かれる一家惨殺事件は、収監中のクニーセクが1ヶ月後に出所を控え、就職先を探すために3日間ほど外出を許された際の凶行だった。事件を起こした後は終身刑がくだり、本作の撮影中であった83年に刑務所からの脱走を試みたが失敗、現在も監獄で日々を過ごしている。本作を鑑賞する際は、これが実際に起きた事件であることをお忘れなきよう。
『アングスト/不安』
7月3日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
配給:アンプラグド
(C)1983 Gerald Kargl Ges.m.b.H. Filmproduktion