ホラー通信

NEWS 映画

黒沢清、園子温、三池崇史…… 『スパイラル:ソウ オールリセット』バウズマン監督が語る“日本のホラー”の魅力

2021.09.17 by

この記事は1年以上前に掲載されたものです。


『ソウ』シリーズの最新作となる『スパイラル:ソウ オールリセット』が現在公開中。今作を手掛けたダーレン・リン・バウズマン監督が、日本のホラーについて語るインタビューが到着した。

今作のみならず『ソウ』シリーズ2~4作目の監督を務め、その他にも数々のホラー映画を手掛けてきたバウズマン監督は、もちろん自身も生粋のホラー映画ファンだ。

秋元康原作の日米共同製作ドラマ『CROW’S BLOOD』で日本での仕事も経験しているバウズマン監督。ジャパニーズホラーの好みを問われると、「秋元康さんと仕事をした時に、ジャパニーズホラーにズブズブとハマっていったんだ」とそのきっかけを明かす。「黒沢清監督の『CURE』(1997)は思い入れがあるよ。海外配給権を持っている会社から、“色々とご意見をください”という仕事をもらっていたので、強く印象に残っているんだ。とにかくダークな不穏で不吉な感じが好きだった。そして『回路』(2001)もあるよね。アメリカのリメイク版『パルス』(2006)で、編集の仕事に携わっていたから記憶に残っているよ」と、黒沢作品との縁を語った。

以前のインタビューで“新鮮に感じられる暴力描写”へのこだわりを明かしていた監督だが、そんな彼でも驚いた作品があるようだ。「園子温監督の『自殺サークル』(2002)も凄かったよね。女子高生が手を繋いで線路に飛び込んじゃうっていうのが、凄く衝撃を受けたんだ」とその印象を語る。「ジャパニーズホラーの面白い部分は、とてもショッキングで素晴らしいところだね。幽霊とバイオレンスを描くジャンルもあまりないよね。アメリカは特殊メイクを大袈裟にやるけど、オリジナルの『呪怨』(2000)は、“カラカラカラッ”という声や、シンプルなメイクでものすごく怖がらせてくれる。幽霊物の作品はそういう“シンプルさ”が凄いのと、一方で『自殺サークル』は、ものすごい暴力的な描写がとても面白いと思う」

海外のホラー監督のフェイバリットとしてよく挙がる三池崇史監督作品は、バウズマン監督もお気に入りのようだ。「三池監督の作品も沢山見てるよ! 学生時代にアートハウスの劇場に行って『オーディション』(2000)を観たんだ。最後のシーンは、顎が外れるかと思ったよ(笑)」と思い出を語る。「作品単体だけでなく、三池監督が築いてきたキャリアにインスパイアされたよ。三池監督は、多作で1年あたり50本撮ってたりするよね(笑)。また『殺し屋 1』(2001)を制作したりと、様々なジャンル作品を撮っていくところも感心する。私が手掛けた『11:11:11』(日本劇場未公開)、『LEPO!レポ』(2008)では、テリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』(1985)、三池監督の『殺し屋 1』にインスパイアされている。不条理で突拍子もない世界を描きながら、ファンタジー的な要素が入っている部分は、かなり影響を受けたよ

最後に日本での思い出と、その印象についても語ってくれた。「日本に滞在していた時は、秋葉原の12階建てのビデオショップに寄って、見たことも聞いたことも字幕もついていない作品を購入して、六本木のホテルに閉じこもってずっと観ていたんだ。日本の作品は、ぶっ飛んでいるが本当に面白いと思う!  妻とよく“日本に引っ越したい”、“京都に住みたいね”と話したりしているんだ。日本滞在期間中、あれだけ楽しいことはなかったと思う。本当に目に映るもの、日本の人々や文化が素晴らしいと感じているんだ。日本で映画作りを体験出来たという事実は、映画監督として素晴らしい経験だと断言できる」と熱弁。「スタッフや関わってくれた人が素晴らしかったので、観客のみなさんが僕に飽きずにいてくれれば、きっとまた日本に行く機会を得られるんじゃないかと思っている。それが実現すると、非常に嬉しいよ!」と締めくくった。バウズマン監督、また日本でビデオ漁りできる日が来るかな?

『スパイラル:ソウ オールリセット』
公開中

出演:クリス・ロック マックス・ミンゲラ マリソル・ニコルズ andサミュエル・L・ジャクソン 
監督:ダーレン・リン・バウズマン(『ソウ2』『ソウ3』『ソウ4』)
脚本:ジョシュ・ストールバーグ ピーター・ゴールドフィンガー(『ジグソウ:ソウ・レガシー』『ピラニア 3D』)
製作:マーク・バーグ オーレン・クールズ(『ソウ』シリーズ)
製作総指揮:クリス・ロック ジェームズ・ワン リー・ワネル グレッグ・ホフマン ケヴィン・グルタートほか
音楽:チャーリー・クロウザー(『ソウ』シリーズ) 
原題:SPIRAL: From the Book of Saw/2019年/アメリカ/93分/シネマスコープ/5.1chサラウンド/字幕翻訳:松浦美奈/R-15
提供:アスミック・エース/ポニーキャニオン 配給:アスミック・エース
https://spiral.asmik-ace.co.jp / @Spiral_movie_JP  

(R), TM & (C) 2021 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

キーワード: