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ベジタリアンの少女が、愛と食人に目覚める―― 痛くて生々しいむきだしの青春ドラマ『RAW 少女のめざめ』

2018.01.19 by

この記事は1年以上前に掲載されたものです。

ベジタリアンが“食人”に目覚めるというショッキングな要素を用いて、少女の成長と愛を鮮烈に描き出す映画『RAW 少女のめざめ』が2月2日より公開。

厳格なベジタリアンの獣医一家に育った少女ジュスティーヌ。両親と姉と同じ獣医学校に入学し、初めて親元を離れて大学寮で生活することとなる。新しい環境、新しい人間関係、期待と緊張が入り交じる学校での新生活で待ち受けていたのは、通過儀礼として行われる激しい新入生いびり。その中で生肉を強制的に食べされられたジュスティーヌは、身体に異常をきたしてしまう。しかしそれは、肉への渇望の始まりでもあった……。

厳しい親の抑圧、教師の理不尽なえこひいき、鬱憤を晴らすように新入生をいびる先輩たち。自分らしくあることを制限されすぎたジュスティーヌの本性が、押しつぶされた心からズルズルと這い出てくる。それと同時に、彼女は抑えきれない恋心にも目覚めていく。果たして、生まれ変わった彼女がたどる道とは?

予告編では、何も知らない“少女”だったジュスティーヌが、セクシーでワイルドなひとりの“女性”へと変わっていくさまが見て取れる。それと同時に、無垢な瞳が野生動物のような厳しい目つきへと変化していくのがこの作品のユニークなところだ。“食人”という要素や、「トロント国際映画祭で上映中に失神者が続出した」という報道から、グロテスクなホラー映画を予想してしまうが、多くの人が大人になる過程で経験する“痛みを伴う変化”を生々しく表現し、共感しうる青春ドラマになっている。怪我や血などの描写に抵抗のある人は少々具合が悪くなりそうだが、決して悪趣味さがウリの映画ではないことは伝えておきたい。勇気を持って鑑賞すれば、この作品の魅惑的な“本性”に気付くはずだ。

監督は、今作が長編デビュー作となる新鋭ジュリア・デュクルノー。常に独創的な要素のあるホラー映画を数々手掛けてきた名プロデューサーのジェイソン・ブラムは、今作について「ジュリア・デュクルノー監督は、誰もが夢見ることを本作でやってのけた。そしてその作品は監督のビジョンがつまったオリジナルで、ダイナミックで、恐ろしくて楽しい映画だ。そしてなによりも、独創的」と絶賛している。

映画『RAW 少女のめざめ』は2月2日よりTOHOシネマズ六本木ほか全国ロードショー。どうぞ、お楽しみに!

『RAW 少女のめざめ』

監督・脚本:ジュリア・デュクルノー/出演:ギャランス・マリリエ、エラ・ルンプフ、ラバ・ナイト・ウフェラ/原題:『GRAVE』 英題『RAW』/2016 年制作/
製作国:フランス・ベルギー/本編尺:98 分/カラー/音声:5.1ch/R15/ コピーライト:© 2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS
RESERVED./ユニバーサル映画 配給:パルコ 宣伝:ライトフィルム
公式サイト:http://raw-movie.jp/

(C) 2016 Petit Film, Rouge International, FraKas Productions. ALL RIGHTS RESERVED.

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