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映画史に残る“サイテー映画”が色鮮やかに蘇る! 『死霊の盆踊り』『プラン9・フロム・アウタースペース』奇跡の公開

2019.09.05 by

この記事は1年以上前に掲載されたものです。

『死霊の盆踊り』『プラン9・フロム・アウタースペース』

こりゃヒドい、でも、そこがいい。

観客を置いてきぼりにする大胆な脚本と、ユルくていい加減な演出、棒読みのダイコン演技、学芸会を彷彿とさせるチープな美術――映画史に渾然と輝く“サイテー映画”の2大金字塔、『死霊の盆踊り』『プラン9・フロム・アウタースペース』が、<サイテー映画の大逆襲2020!>と題し、奇跡の日本公開。しかも公開は年末年始と来たもんだ!

史上最低の映画監督として知られるエド・ウッドが脚本を務めた『死霊の盆踊り』(1965)は、墓場に迷い込んだカップルが体験する一夜の恐怖を描いた物語。そこでは、夜の帝王クリスウェルに呼び起こされた浮かばれない女の霊たち(全員トップレス)が、ひとりまたひとりと踊り狂っていたのだ――! 不幸なカップルは墓石に縛り付けられ、いつ終わるとも分からない裸踊りを延々見せ続けられることになる――怖い、なんか別の意味で。今回の上映は、美麗なHDリマスター版となる。

そして、エド・ウッドの監督作で最高傑作と呼ばれる『プラン9・フロム・アウタースペース』(1959)は、外宇宙からやってきた宇宙人たちの恐ろしい“第9計画”を描くSFホラー。戦争で自滅の道をたどる地球人に、親切にも警告しに来た宇宙人たち。しかし、地球人は平和のメッセージも解読できず、挙げ句攻撃を仕掛けてくるほどバカだったので、やむなく墓場に眠る死者を蘇らせて地球人を驚かせ、地球を征服しようとするのだ――。この映画の制作過程と、エド・ウッドの映画製作にかける情熱は、“最高”側の映画監督ティム・バートンによって『エド・ウッド』の題で映画化され、アカデミー賞を受賞した。今回の上映は、色鮮やかな総天然色版。

この上映の総合プロデュースを務めるのは、『死霊の盆踊り』の邦題の名付け親でもある映画評論家・江戸木純。“サイテー映画”への愛情あふれるコメントも到着した。

映画史とは、今も繰り返し見続けられている傑作、名作だけでなく、その何倍もの駄作と失敗作の死屍累々が築いてきた歴史です。この2本は、その栄光の歴史にひときわ輝く、最低を極めて珠玉となった2つの伝説。ヒドい映画や耐え難いほどつまらない映画は世界中に無数にあります。でも、徹底的にヒドいのにまったく憎めず、こんなにも面白く、愛おしい作品は他にありません。これも間違いなく、映画の神様が起こした奇跡のかたち。

失笑、嘲笑、爆笑の果て、壮絶なヒドさの中にも溢れる真の映画への愛を見つけたとき、あなたはきっと、かつて体験したことのない映画的感動に震え、涙することでしょう。

江戸木純(映画評論家)

いずれも、スクリーンではなかなか観られない貴重な機会。年末年始、実家に帰るスケジュールをズラしてでも、是非ともご鑑賞されたし。

『死霊の盆踊り』 HDリマスター版 
2019年12月28日(土)より、新宿シネマカリテにてロードショー

『プラン9・フロム・アウタースペース』 総天然色版
2020年1月11日(土)より、新宿シネマカリテにてロードショー

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