この記事は1年以上前に掲載されたものです。
ここに書かれた体験談は、ニコニコ生放送『ニコ厨の恐怖体験集めてみた 生怪談「ミテハイケナイ」』に投稿された、視聴者の実体験です……。
【体験談】女の子はどこへ消えた?
これは私が大学生の時の話です。
一人暮らしをしていた私は、大学の夏休みを利用して実家に帰省していました。
私の実家は地方都市の郊外にある築30年以上の古いマンションで、昼間でもほとんど人通りのない、大通りからかなり奥まった住宅街にあります。
夕日で空がオレンジ一色に染まる頃、母と一緒に買い物をして歩いて帰っていました。
マンションの玄関が見えてきました。
私のマンションは階段をあがってエントランスがあり、その奥に薄黄色のエレベーターの扉が見えます。扉が開くときに“ポーン”と音が鳴るタイプのエレベーターです。
母「あともうちょっとで着くね」
私「うん、階段はキツイからエレベーターで上がろう」
買い物袋をたくさん抱えて荷物が重かったので、すぐそばの階段ではなくエレベーターで上がることにしました。
夕方と言ってもまだ暑いからか、周りには誰もおらず私と母の二人だけ、あとはセミの鳴き声が耳が痛いほど聞こえていました。
エレベーターのあるエントランスまであと20メートルほど手前まで来た時、7・8歳くらいの女の子が、脇の通路からエレベーターの前にスキップで現れたのが見えました。肩までの黒髪で白っぽいワンピースを着た女の子でした。その子がエレベーターのボタンを押すと、“ポーン”と音が鳴り、女の子はエレベーターに乗ってゆきました。
エレベーターは一機しかありません。
“いま女の子が乗ったばかりだから、少し待たないといけないな”と思いながら、私たち二人はエレベーターの前まで到着。ボタンを押すと、何故かすぐに扉が開きました。
私「え? さっき女の子が乗っていったよね?……」
母「うん、そうだねぇ……」
私と母はその意味を理解するまでしばし無言で立ち尽くしました。
その女の子が乗ってからエレベーターが動いた形跡がないこと。
いたずらで乗ったとしても、エレベーターが開いて、居るはずの女の子がいないこと。それを理解して寒気がしました。
女の子が扉の開けて乗りこんでいくのを見ていたし、見通しのいいエントランスなので、また出てきても必ず気がつくはずなのです。
そのあと母と私は、全く動いた形跡のないエレベーターに怖々乗り、無事に家に着くことができました。
今でもあの女の子はどこへ消えたのか、一体どこの誰なのか分からないままです。
体験談提供者:スフィアさん