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江戸木純が解説する新旧『サスペリア』の違いとその魅力 「これは単なる“ホラー映画”ではありません」

2019.01.22 by

この記事は1年以上前に掲載されたものです。

ダリオ・アルジェント監督の伝説のホラー映画を、ルカ・グァダニーノ監督が再構築した『サスペリア』が1/25より公開。映画評論家の江戸木純さんが、新旧『サスペリア』について語ったコメントが到着しました。

アルジェント版『サスペリア』の1977年の公開当時の世間の反応は? アルジェント版とグァダニーノ版の違いとそれぞれの魅力とは?

映画の予習に読むもよし、観てから読んで理解を深めるもよし。グァダニーノ版の前情報をあまり入れたくない方は最後の回答(3つ目)は鑑賞後に読むのがいいかもしれません。鑑賞のお供にぜひどうぞ。

アルジェント版『サスペリア』ブームはお茶の間にも浸透していた?

江戸木:公開直前、「決して ひとりでは見ないでください――」というTVスポットが頻繁に流れ、その後ドリフターズの「8時だョ!全員集合!!」のコントの中でもよく使われて教室の流行語になりました

公開直後は扉の開く音や叫び声などが場内に突然鳴り響いてビックリさせる“サーカム・サウンド”という特殊音響装置が怖いと口コミで評判になりましたし、ゴブリンのサントラ・レコードも話題になりました。

現在でもアルジェント版『サスペリア』が観客の心揺さぶる理由は?

江戸木:アルジェント版『サスペリア』は、映像と音楽に凝るダリオ・アルジェント監督の狂気の美学の集大成とも言える作品です。

その凄さはやはり独特なビジュアル・センスに尽きるのではないかと思います。サディスティックな殺人を美しく見せるその強烈でストレートな変態性は、因縁や復讐などの物語の展開から恐怖を感じさせる日本の怪談話や、悪魔や幽霊の視覚的な怖さとはまったく異質のもので、今でも衝撃的です。

グァダニーノ版『サスペリア』の見所は?

江戸木:アルジェント版との一番の違いは、この映画が描く切なくも美しい恐怖が、アルジェント版のような視覚や音響からくる即物的なものではなく、精神的内面からわきあがってくることです。そのためにこの映画は、物語の舞台となる1977年の西ベルリンという特殊な場所とその時代における恐怖と不安を描き込んでいます。

同時にこの映画はアルジェント版では徹底的な被害者だった女性が、すべての主導権を握る“怖い”女性たちの映画になっています。これは単なる<ホラー映画>ではありません。クライマックスの衝撃はおそらく一生のトラウマ級です。覚悟してご覧ください。

『サスペリア』(2019)

1月25日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
公式サイト:gaga.ne.jp/suspiria

監督:ルカ・グァダニーノ『君の名前で僕を呼んで』 音楽:トム・ヨーク(レディオヘッド)
出演:ダコタ・ジョンソン、ティルダ・スウィントン、ミア・ゴス、ルッツ・エバースドルフ、ジェシカ・ハーパー、クロエ・グレース・モレッ

『サスペリア』(1977)

・作品名 サスペリア
・発売日 DVD&Blu-ray発売中
・価格 6,800円 (税抜)
・発売元 ハピネット/是空  
・販売元 ハピネット(ピーエム) 

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