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<特集>ホラー映画の面白いところがてんこ盛り! 殺戮タイムループホラー『アンティル・ドーン』の注目ポイント

2025.07.25 by
Sony Pictures Entertainment (Japan)

<特集>『アンティル・ドーン』

『ライト/オフ』『アナベル 死霊人形の誕生』で観客をゾワゾワゾクゾクさせたデヴィッド・F・サンドバーグ監督が、人気ホラーゲーム『アンティル・ドーン 惨劇の山荘』を映画化。生存ルートを発見するまで“殺される夜”を繰り返すタイムループホラー『アンティル・ドーン』がいよいよ8月1日より公開だ。

数々のホラー映画からインスパイアされた原作ゲームを、ひねりの効いた翻案で進化系ホラー映画に落とし込んだ本作。『ハッピー・デス・デイ』と『キャビン』の面白さを融合させたような、“ずっと怖くてずっと楽しい”作品に仕上がっている。ホラー映画初心者にもマニアにもオススメしたい本作の注目ポイントをご紹介していこう!

ルールがエグい! 山荘で繰り広げられる“殺戮タイムループ”

『アンティル・ドーン』ルール

失踪した姉の行方を一年ものあいだ探し続けてきたクローバーとその友人たち。思わぬ手がかりを得てたどり着いたのは、人里離れた場所にある謎めいた山荘だった。でも、ここは何かが変だ……。

山荘に足を踏み入れると、壁に掲げられていた巨大な砂時計がひとりでに回転し、おぞましいゲームが始まってしまう。それは、生きて夜明けを迎える手段を見つけるまで、“殺される夜”を何度も何度も繰り返すというもの。殺人鬼にモンスター、そして想像だにしない脅威……あらゆるものから命を狙われ、死ぬと再び最初の地点に戻ってしまう。さらに、一度殺されてやり直すたびに、より残虐に殺されるという最悪なオマケつきだ!

やり直すごとに身も心も消耗していき、上限回数に達すればゲームオーバーになる……。このハードモードな死にゲーに突如放り込まれた彼らは、全員生き残ることができるだろうか?

そう来たか! 原作ゲームからのアレンジ

『アンティル・ドーン』脚本家ゲイリー・ドーベルマン

ここで原作ゲーム『アンティル・ドーン 惨劇の山荘』との大きな違いを説明しておこう。何度も夜を繰り返す“タイムループ”要素は映画化にあたって新たに取り入れられたものだ。

“山荘に集まった友人グループが正体不明の脅威に襲われる”という基本の世界観は同じだが、ゲームは夜明けまでの一夜をプレイするもの。プレイヤーの選択と行動が物語の展開に大きな影響を及ぼしていく仕掛け(=バタフライエフェクト・システム)が施されており、登場人物たちがどうやって死に、もしくは生き残るのかはすべてプレイヤー次第。一度プレイした後に、別の展開を体験するためにやり込むのもこのゲームの楽しみどころである。

脚本を手掛けたゲイリー・ドーベルマン(『IT/イット』『アナベル』シリーズ)とブレア・バトラー(『ポラロイド』)は、原作ゲームの大ファンだった。ゲーム自体が長尺のホラー映画のようなものだから、一つのルートを一本の映画に仕立てることもできただろう。しかし、それだとこのゲームの真の面白さを表現できない。“自身の選択が展開を左右する”という核の部分を、映画に落とし込めないだろうか?

そこでタイムループ要素である。登場人物たちは殺されて最初の地点に戻るたび、別の行動をとって生き延びる手立てを探すのだ――まるでプレイヤーが“全員生存エンド”を目指してゲームをやり込むように。

見応えを担保しつつ緊張感が途切れない103分という長さに仕上げているため、ひとつひとつのルートはさすがに駆け足にはなるが、それがまた本作の密度の濃いスリルとエンタメ性に寄与している。ジェットコースターのスピード感でお化け屋敷の恐怖が襲いかかってくるかのようなトンデモない映画になっているのだ。

ホラー映画初心者はアトラクション的に楽しめるし、ホラー映画ファンは『ハッピー・デス・デイ』のタイムループ要素と『キャビン』の様々な脅威が融合したような、変化球のホラー映画として楽しめることだろう。

ホラー大好きサンドバーグ監督も思わずワクワク

脚本を手がけたゲイリーは、時が戻るごとに新たな脅威が現れる本作の設定を「大きなホラー映画の中に小さなホラー映画をいくつも詰め込んだようなもの」と表現している。そんな脚本を手にしてワクワクする気持ちを抑えられなかったのが、ホラーを愛してやまないデヴィッド・F・サンドバーグ監督である。

デヴィッドは近年、DC映画『シャザム!』の監督に抜擢され、続編の『シャザム!〜神々の怒り〜』も手掛けたが、原作ファンの手厳しい反応に少々疲弊していた。故郷であるホラージャンルへの回帰を望んでいたものの、「原作モノの映画はもうこりごりだ」と思っていたという。それでも「こんなクールな映画が撮れるなら、断るワケがない!」とテンションがブチ上がってしまったのが本作なのだ。

一夜ごとにホラーのサブジャンルが切り替わっていくようなストーリーで、ホラー映画何本分もの殺戮シーンや恐怖シーンを盛り込んだ本作は、ホラー映画ファンにとっては大好物がてんこ盛りのご馳走映画だが、作り手のデヴィッドにとってもそれは同じ。創意工夫を要する、難しくも面白い部分がたっぷり楽しめるからだ。「子供の頃からこんな映画が作りたかったんだ」と彼は言う。

グロい? グロくない? “暗転ドーン”はどうなった?

登場人物たちの多種多様な死に様は見ごたえたっぷり。思わず笑ってしまうような景気の良いゴア描写も盛り込んでいる。原作ゲームは日本での発売時に残酷シーンで暗転するという残念な処理(通称・暗転ドーン)がされてしまったが、映画版では心配ご無用。レイティングは堂々のR18+で、お望みのものがしっかり見られるだろう。

しかし、ゴア映画フリークしか直視できないほどねちねちとしたグロさはなく、ホラー映画初心者でもトライする余地のある、ほどよいバランスに仕上がっている印象だ。ちょっと目は瞑っちゃうかもしれないが、『テリファー』シリーズほどの勇気は無用である。

CGIに頼り切りになりたくないというデヴィッドは、かつてのホラー映画でも使われていた、昔ながらのプラクティカル・エフェクト(実写撮影の特殊効果)を多数取り入れた。妻であり創作パートナーでもあるロッタ・ロステンとともに試行錯誤を重ね、愛とDIY精神を注ぎ込んで殺戮シーンを作り上げていったのだ。

彼のYouTubeチャンネルやInstagramではその様子が動画でアップされており、素晴らしい出来の殺戮シーンが思いのほかアナログな手法で撮られていることが分かる。映画の鑑賞後に見ると「あの裏側はこうなっていたのか!」と感嘆することだろう。グロいシーンで目を瞑っちゃうあなたも、こうした裏側を知ると徐々にその面白さが分かってくるかもしれない。

ゲーム版といっしょに楽しむのもオススメ

さらにデヴィッドは、脚本家の二人と同じく原作ゲームの大ファンでもある。なにしろゲーム版は、凄まじい数の独立系ホラー映画にスタッフやキャストとして携わってきたラリー・フェッセンデンが脚本を手掛けているのだ(彼の名を知る人は多くないかもしれないが、最近では『MaXXXine マキシーン』にも出演していた)。ホラー映画製作者たちを夢中にさせているのも納得である。

そんな原作に敬意を表すため、映画にはゲームにまつわるイースターエッグがこれでもかと散りばめられている。なお、現場のスタッフにもファンが多数いたため、監督すら気付かない間に仕込まれていた小ネタもあるのだとか……。ゲームのファンならそれを探すのも面白いだろうし、映画を観て興味を持ったらゲームをプレイしてみるのもまた楽しい。“暗転ドーン”は2024年発売のリメイク版では改善されているようだ。ゲームをプレイしたら映画をまたおかわりして……。さあ、今年の夏は忙しくなりそうだぞ!

『アンティル・ドーン』 
8月1日(金)より公開

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