
「視てはいけない」と言われると、むしろ見たくなる。たとえ危険だと言われても……。そんな少々危うい好奇心を刺激する絵画展「視てはいけない絵画展」が現在開催中だ。
この絵画展は、様々な“視てはいけない”理由が付された絵画=“禁視絵”を物語とともに味わうというもの。不条理ショートフィルム集『NN4444』や参列型中編ホラー『◯◯式』でJホラーに新しい風を吹き込んだ映画レーベル「NOTHING NEW」と、累計動員数4万人を記録した「視える人には見える展」の制作チームがタッグを組んでいる。

会場はGinzaNovo(旧・東急プラザ銀座)の6階。足を一歩踏み入れたところから、来場者はこの絵画展の世界観に引きずり込まれることになる。
入口に掲げられた「ご挨拶」によれば、ここで展示される絵画はすでに死去している“小野武久”という画家兼“禁視絵”収集家のコレクションであり、この絵画展そのものが小野氏の遺志によるものだという。
なぜ“視てはいけない”ものを人に見せようとしているのか勘ぐってしまうが、そういう不穏な誘惑にわざわざ飛び込みたくなるのが怖いもの好きの性である。やだなー、こわいなー(ワクワク)。

先行プレビューの模様 開催中はもっと混んでいるかも
広々としたフロアに飾られている絵画の数々には、作者やバックストーリーについて説明する「絵画解説」と、“視てはいけない”理由をさらに深堀りする「禁視絵監修コメント」が添えられている。絵を眺め、テキストを読み、また絵を眺め、“視てはいけない”ものを見る禁忌を噛み締める。なんたる背徳感。
ちなみに、自身のスマホを使用して音声解説(声:下野紘)を聞くこともできるぞ。その際はイヤホンをお忘れなく。

子供たちが描いた絵だが、それぞれに“黒い何か”が描き込まれている 一体何がいたの……?

とある事情により、絵を飾っていた“壁ごと”展示されている 裏側もぜひ覗いてみて
見るからに不穏な絵もあるが、パッと見た印象が無害な絵ほど、鑑賞者に危険が及びそうなバックストーリーが秘められていたりする。
ちなみに筆者が一番ゾッとさせられたのは「故郷の地」と題された絵画。筆者が見たときは額縁から消えていたのだが、あなたの鑑賞時には、絵はそこにあっただろうか……?

額縁だけが残されていた「故郷の地」 絵の行方は……
また、絵の一部や全体が何かしらの形で封印されているものや、直視しないように手鏡を通して見るものなど“見る方法”が限定されているものもあり、展示方法も様々だ。不穏なものを立て続けに見ているはずなのに、「次は何が来るんだろう?」とちょっと楽しくなってきてしまう。禁視絵ハイである。

目の部分がテープで隠されている自画像 このテープを「剥がしたい!」と思ったらそれは禁視絵ハイです

直視すると危険なため、手鏡を使って見る絵画 このタブー感がたまらない
単純に絵画ひとつひとつを楽しむこともできるが、解説を読み進めるにつれ、それぞれの絵画のバックストーリーが何かしらの形でつながっていることをじわじわと感じ始めることだろう。画家だった小野氏は、なぜ曰く付きの絵画を集め、人々に見せることを望んだのか? この絵画展そのものが持つストーリーに想像をめぐらすのもきっと楽しいはず……いや、やっぱ怖いから考えないでおこうかな……。
「視てはいけない絵画展」
開催期間:2025年11月28日(金)~12月28日(日)
開催会場:GinzaNovo(旧・東急プラザ銀座) 6F特設会場
入場料金:平日¥2,000(税込)/土日祝¥2,300(税込)
https://d.pass-store.jp/pages/mitehaikenai
















